としまひすとりぃ
ひと×街 ひすとりぃ

様々なひとが暮らす街。
ひとりひとりの日々の暮らしからそれぞれの物語が紡がれ、街の歴史を織りなしていく…
そんな物語の軌跡を区民インタビュアーがたどります。


5 店主催のイベントでみんなの想いをつなぐ

「藤香想」では、さまざまな参加型のイベントを開催してきた。そこでお客さん同士の交流も進み、今や地元客はもちろんのこと、遠方から足を運んでくれる人もいる。
「業態がカフェなので『飲食店』なんですけども、私のなかでは飲食は後づけで、まずは誰もが来れて、集まれるところが必要だった。そこに、食べるものとか飲むものがあったらもっといいよね、ってということでこの状態になってるんです」

もともと構想にあった音楽イベントはもちろんのこと、店から「外へ出て行く」催しも、新たなつながりをうんできた。店の料理に食材を提供してくれている生産者と交流しようという「藤香想ファーム」への遠足もここの目玉イベントとなっている。
「藤香想ファームはまだ道半ばなんですけれど、ここで始めた新しいことのひとつなんです。せっかく農家さんからおいしいお米を頂いたり、お味噌も作ってもらったりしてるので、千葉県東庄の現場に行ってどんなふうに作られてるのかを(お客さんに)見てほしかったんですね。年間通して一緒に作業をするのは難しいですけど、月1、2回は行って作業をさせてもらってます。醤油蔵も見学させてもらいました。
現地の人との交流会では、みんなでカブの収穫をして、農家さんにカブ料理を作っていただいてみんなで食べましたね。ここのものはここで出されてますよっていう、一連のストーリーが出来上がってほしかったんです」

本橋さんが企画してきたさまざまなイベントの思い出は、カメラマンのお客さんが写真集に仕立ててくれた。若い音楽家が集った演奏会、すっかり農作業になじんだスタッフの顔、季節恒例の行事――写真を見返す本橋さんの声が弾む。
「これは、ここで蕎麦打ちをやったときの写真。松戸(千葉県)から蕎麦同好会の人たちを呼んで、教えてもらいながらみんなでお蕎麦を食べる会をやったんです。それからこれは、ラテンユニットの演奏会。このかたたちはプロですが、演奏会は学生さんやセミプロの方が多いですね。それからこれは、ここでバーベキューをしたときの写真。春と秋にやるんです。……これは美術の作品展ですね」

作品展とは、平成30(2018)年から店で参加している「新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」(※6)のこと。池袋周辺に戦前から芸術家のコミュニティが広がっていた歴史にちなんだ催しで、藤香想の近くにも「すずめが丘アトリエ村」(※7)というアトリエ付借家が立ち並んでいた。藤香想は、造形や絵画などの作品を展示する会場として参加し、一部の作品はいまも店内で見ることができる。

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