場所の産物は、産地から江戸に直送するものもあったが、多くはいったん箱館に集荷されたうえ各地に回漕された。すなわち、場所産物を積んだ船が箱館港に到着すると、会所掛がこれを産物帳に記入し、送状は吟味役に差出し、官船・雇船にかかわらず、下役または在住の者が船改めに赴き、会所からは産物掛手代が船中に行って品物を見届けた上、入札を告知した。それによって問屋および小宿の者が、船に来て品物を見て入札したものである。開札には会所掛が出席し、御用聞と産物掛手代が立会ってこれを開き、高札者を落札者として記帳、御用聞らが評議の上会所掛の認可を得て、落札者に品物を渡した。落札額の最も多いのは箱館で、次いで江戸、その他は少なかったという。落札払下げ代金の取立は30日限りとされ、仕出帳の取調べができ次第追々取立て、役所に内納しておき、12月に至り皆済目録に引合せて残らず納めさせた。こうして箱館商人の手に渡った産物は、彼らの手を経て更に大坂や江戸などに送られたのであるが、文化6年、7年、8年の3か年における1か年の平均払下代金は、箱館が3万1102両3分余、江戸ならびに上方回しが合わせて、およそ1万2000両であった。