豊浦バイパス全長3,654.29メートル(内トンネル部分延長1,355メートル)

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 郷土・尻岸内町は、江戸時代末から箱館六ヶ場所の1つとして繁栄し、明治・大正期には豊かな魚田、鉱山のマチとしても隆盛を極め、産業・人口とも下海岸の中核でありながら、住民は、下海岸の「酷道(こくどう)」のため近代化から取り残されてきたという思いが強かった。また、函館の人々の目にも文化が遅れた不便な地域として、映っていたであろう。
 サンタロトンネル・豊浦バイパスの完成は、新鮮な魚介類・物資の輸送の安全且つスピードアップ、観光客の増加など経済効果は勿論のこと、この地域の人々にとって通学・通勤、買物や通院の利便性、あるいは文化・娯楽性など、函館との距離が(時間的にも)近くなることにより、生活がどれだけ豊かになったか計り知れないものがある。

国道278号線「道の駅なとわえさん」平成11年(1999)オープン

 以下にこれまでに至る、国道278号線の(戸井・尻岸内間)主な改良工事について記す。
 
 ・昭和42年(1967)7月
  女那川橋(2級河川尻岸内川)の建設
 ・昭和42年(1967)11月
  古武井橋(2級河川古武井川)の建設
 ・昭和44年(1969)12月
  戸井トンネル(延長 250メートル)の開通
 ・昭和45年(1970)4月
  『国道278号線』となる。
 ・昭和46年(1971)12月
  日浦橋(日浦川)の建設
 ・昭和47年(1972)11月
  弁才橋(戸井川)の建設
 ・昭和47年(1972)
  尻岸内町字女那川・字川上・女那川地区の道路改良・舗装工事を実施
 ・昭和48年(1973)3月
  日浦トンネル(延長815メートル)の開通
 ・昭和50年(1975)12月
   武井トンネル(延長128メートル)の開通
 ・昭和50年(1975)10月
  原木橋(2級河川原木川)の建設
 ・昭和56年(1981)3月
  サンタロトンネル日浦側、岬橋の建設
 ・昭和57年(1982)12月
  小安市街地 釜谷バイパス(延長5.5km)の開通
 ・昭和60年(1985)3月
  サンタロトンネル(延長1,355メートル)の開通
 ・昭和61年(1986)1月
  大澗・中浜市街地 豊浦バイパス(延長2.3キロメートル)の開通
 ・平成8年(1996)9月
  戸井市街地バイパス(延長1.7キロメートル)の開通
 
 改良の中心は、まずは橋の永久橋への架けかえと、海岸の崖崩れ危険地帯にトンネルを通す、これに合わせて取り付け道路の直線化と拡幅、人の通行の多い地区の歩道造成と舗装が漸次進めらてきた。
 この路線の特徴は、海岸に沿って連なる海岸段丘崖の裾の僅かな平地、波打ち際を縫うようにして道路が造成されているところが多い。従って、大型車両が擦れ違うことができないような幅員の狭い道路がほとんどである。拡幅できない狭隘な箇所は海岸の埋め立て工事が行われている。造成された新道の山側に曲がりくねった旧道が随所に見られる。
 また、狭隘な道に沿って人家が密集している地帯のバイパス化(小安市街・戸井市街・尻岸内地区など)、背後の丘陵地帯に移すなど大規模な工事も行われた。
 この路線の幅員の拡大、直線化による距離と時間の短縮は勿論であるが、走り易い〟近くなった〝と思う心理的な効果もまた大きかったのではないか。