六箇場所では、場所請負制度の廃止にともない旧運上屋が廃止となり新たに会所が置かれ、交通の要地には通行屋(船渡の設備や宿泊設備をもつ、別名番屋と呼ぶこともある)が設けられた。
幕府の命令により各場所における実支配者であった場所請負人は廃止されたが、他方運上屋の支配人や番屋の番人そのほか村の有力者などは、会所の支配人や通行屋の番人と云った、いわば奉行所の下役人的存在となり、行政担当者となっていった。
支配人や番人の主な仕事は、交易・漁業経営・蝦夷の介抱・官用書状の継立・旅行者の宿泊・人馬や船の継立・道路の修理・それに非常時の備えとして早馬・早船そのほか会所や番屋に米・幕串(幕を立てるために用ふる細い棒)松明・わらじなどを準備することであった。
このほかにアイヌ人が居住する村々では、これらの人々を治めるために、前松前藩時代と同様乙名(おとな)・脇乙名・小使・土産取(みやげとり)などの役が置かれていたが、前時代に比較し、その実力は弱体化し名目的な役職となっていた。