臼尻村二代目戸長 篠田順

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 明治一六年七月、篠田順(弘化元年生・一八四四)が臼尻村外一か村の二代目戸長に着任した。
 篠田順は旧名田中勝之介といい、山形県の人である。
 明治四年、廃藩置県に伴い斗南藩を廃官、この頃、篠田順と改名、青森県警察の前身である捕亡(方)・見廻方を勤め、明治七年退職、明治一一年に渡道して開拓使函館裁判所に勤め、明治一六年臼尻村に戸長赴任した。
 篠田順は、臼尻村を二分したといわれる共同網の境界訴訟問題の渦中に着任した。
 篠田戸長は民心の和合に意を注ぎ、郡長からジャガ薯の種薯を融通してもらって農事を奨励した。
 また、尾札部村との重立の交流を企画した。当時、伝染病が流行し、ジフテリアや天然痘が発生していた。これを北海道庁の青江秀の諸村巡回の折請願して、ついに明治二〇年、鹿部、臼尻尾札部村合同の病院を設立した。これが村立病院の前身となった。
 篠田戸長は学林や村の財政を確立するため、村有林の育成、そして漁家の蓄財として民有林の奨励など林業の普及につとめた。
 明治三四年まで臼尻外一か村の戸長二六年有余の期間中、一八年間在任して、明治期の臼尻村熊村(大船)の自治の基礎を築いた人である。
 長男繁太郎は獣医として日露戦争に従軍した人で磯谷野に篠田牧場を経営した。
 篠田順は戸長退職後に懇請されて臼尻村最初の沿革誌を編み、書記として勤めたり、はじめての村会議員にも選ばれ、また、漁業組合の書記も勤めた。大正六年、上川郡士別で没した。七四歳であった。
 
茅部・山越郡村村役職名 明治一八年三月 (郡長桜庭為四郎「巡回日誌」より)
村名戸長警察総代漁業総代伍長訓導学務委員校務委員医員山林牛馬取締重立投宿喫飯
茅部山越郡役所 山内警部長御用係           
   渡辺恒良         竹内才助相木寛蔵
長万部本間慶五郎巡査郡代人          真宗大谷派
  斉藤慎三森田森太郎          西念寺
遊楽部三井計次郎 八雲 角田     大沢□□開墾地事務所取締副取締   
          片岡助作角田広業 森田和平次 
山越内村  湊 治□衛(坂本菊松)村上忠蔵石田 連坂本菊松粂林丘衛長谷川重蔵竹内 直吉田□□太郎  竹内才助
   高□和右衛門 原藤左衛門         
     掛川丈吉         
     □田寅吉         
落部村林 久寿 山元久三郎相木七五三作大沢長助小田島迪相木寛蔵学校世話係      
   角谷 金作 加我久吉  三木勘之□  後藤八十吉相木慶太郎 相木寛蔵
        相木幾一郎   □本勝之助  
               
茂無部           村田石蔵  
            柳谷松之助  
            村田作太郎  
            佐藤岩蔵  
石倉村  吉田栄吉 小松金蔵村山兵次郎     吉田□吉  
            吉田八十吉  
茅部星野 中野勘蔵   中野酉蔵       
               
蛯谷村  松田亀太郎 東谷綱吉 木村竹蔵    木村竹松  
   松田権八 菊池丑松         
鷲木村  吉川重四郎 吉川留松 金丸与四郎    千石吉兵衛  
     坂本要作 菊池勘蔵    磯谷長蔵  
     □ 弟作      工藤栄次郎  
     藤田孫吉      田中秀五郎  
            大野初太郎  
宿野辺村 筆生            
  忍 彦惣西川平吉    松川藤三郎      
   伊太郎代理           
   橋本伊三郎           
尾白内村  金丸徳次郎          
   川村千代松田中嘉八郎西川勘五郎 寺沢久八    西川栄次郎  
     西川嘉吉         
     金丸友吉         
     瀧田孫吉         
掛澗村  三浦岩蔵           
砂原青木幹兵衛 福田佐之吉  渡辺斉藤 良□    平田太次郎  
            村上萬十郎  
            西村馬之丈  
    松田亀太郎      金子長吉  
鹿部村高橋松之助村書記            
  出間万蔵原田栄太郎 大鷲三郎和田 三浦儀助   伊藤源五郎  
   秋田栄七 村田栄蔵      種崎平治  
            加藤為五郎  
            松本要助  
            松川玉吉  
            松崎松五郎  
常路    佐藤磯吉      盛田勇吉  
            後藤綱吉  
蹴勝浜              
               
篠田 順村書記            
  相馬昌衛成田市助金沢今吉 鎗居訓導西田末吉    山田亦吉  
臼尻  二本柳庄三郎蛯谷直吉  小助川兵次郎  小原直道    
    (小助川平次郎)          
川汲飯田与五左エ門 小板久兵衛 杉林政吉 杉林梅吉    坂本仲蔵  
     佐藤宇佐吉 加我熊蔵       
尾札部  (今津甚蔵) 坂井五兵衛 今津甚蔵    杉谷文次郎  
     山本初五郎 秋元与吉       
     千石綱吉         
     佐藤鶴松         
木直 村用取扱            
  宮間乕吉小田原幸作 佐藤藤五郎斉藤政治吉村勝蔵       
     佐々木文治郎         
     西谷徳三         
古部 役場一時雇            
  大森初之助   江口藤太郎  水島一正     
  村用取扱            
  前野常吉