真夏日・夏日・真冬日からみた地域特性

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暑さ、寒さの厳しさを表わす指標に、真夏日・真冬日などがあり、この日数の多い、少ないが暑夏年・寒冬年の経過になる。
   真夏日--日最高気温が三〇℃以上の日
   夏日 --日最高気温が二五℃以上の日
   真冬日--日最高気温が〇℃未満の日
 平年における真夏日の出現の多い時期は、梅雨明けごろの七月下旬から八月中旬にかけてで、八月八日ごろの立秋の前後が最も出現率が高い。このころは統計的に二~三日に一日の出現になる。ただし、昭和五十五年(一九八〇)の冷夏・凶作年には皆無となったが、ほかの冷夏年も例外ではない。北太平洋高気圧は、梅雨明け直後に最も勢力を強めて盛夏期を迎え、南高北低の夏型気圧配置が卓越すると真夏日が続き暑夏年になる。逆に冷夏には、梅雨明けが平年より遅れ、その後もオホーツク海高気圧が現れる。または太平洋高気圧の勢力が弱く、オホーツク海方面で低気圧が発達するなどで、北日本に大陸から寒気が入りやすくなる。
 アメダス資料による真夏日の出現日数は、弘前一六日、碇ヶ関(いかりがせき)一七日、五所川原(ごしょがわら)一一日、青森・黒石一〇日、鰺ヶ沢(あじがさわ)六日、深浦(ふかうら)五日、今別(いまべつ)三日などとなっている。青森を除く海岸地域では五日前後と少ない。これは、海陸の温度差で日中に吹く海風(浜風ともいう)の影響を受けて、昇温が抑えられるためであるが、こんな場合は海岸でも気温が高く二五℃は越えている。弘前、碇ヶ関にみられるように、弘前・南津軽地域は高温日が多いことがわかる。
 県内における最高気温の累年第一位は、弘前気象通報所において昭和四十六年(一九七一)八月六日に記録した三九・一℃である。そして第二位も弘前で、前日の三八・三℃である。これは気象官署の正式な国内記録順位の第七位に入る暑さであった。この高温の原因は、夏型気圧配置の中で日本海中部を北上した台風に、暖湿な南風が吹きこむ際のフェーン現象によるものである。弘前・南津軽地域の夏の暑さは、内陸・盆地性の高温で日較差が大きい。この気候特性が水資源と共に稲作やリンゴなど農作物に良い影響を与えていると思われる。
 夏日の日数は、水稲などの生育・成長に関係する重要な要素である。この出現日数は青森・津軽平野とも四〇日を越える。特に、弘前、中・南津軽地域は六〇日を越える。真夏日が少ない西海岸地域でも三〇日を越えるが、東津軽の陸奥湾側では三〇日より少なく真夏日ほどの日数差はない。真夏日・夏日出現日数が平年より多い年は、ほとんど稲作が豊作になっている。そして真夏日が平年より少ない年の約半分は凶作になっており、夏日が少ない年はほとんど不作・凶作になっている。
 各地の真夏日の出現日数は、札幌七日、秋田一五日、盛岡・仙台一七日、新潟三二日、東京四五日、八戸一一日、酒田一八日。夏日の出現日数は、札幌四六日、秋田・盛岡七〇日、仙台六六日、新潟八五日、東京一〇六日、八戸四二日、酒田七一日などとなっていて、真夏日・夏日の出現日数では、秋田、盛岡、酒田と津軽平野内陸は大差がない。
 真冬日は早い年は十二月中旬に現われるが、寒暖の変動があって、一月にかけて増えてくる。本格的な真冬日は、一月五日ころの小寒から二月四日ころの立春にかけての約三〇日間の「寒の内」期間に現われやすい。津軽地域の真冬日出現の日数は、海岸で三〇日、内陸で三五日前後である。出現率が特に高い期間は、一月二十日ごろの大寒から立春にかけてで、このころは五日とか一週間も続くことがある。その後は出現しても連続性がなく、三月中旬ともなると寒の戻りがあっても真冬日になることはごくまれである。
 真冬日出現日数は、青森二九日、弘前三一日、黒石三八日、鰺ヶ沢二八日、市浦二六日、深浦二九日、八戸二一日、碇ヶ関三八日、酸ヶ湯一〇四日。各地の真冬日出現日数は、札幌五一日、秋田一五日、仙台三日などである。