市立図書館の設置

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本格的な図書館の設置を望んでいた私立弘前図書館関係者が、たまたま地元の建築業者の堀江佐吉と話し合う機会があって、図書館の必要を説いたことがきっかけで、堀江佐吉らは日露戦勝記念に市に図書館を新築寄附することにした。堀江のほか斎藤主石戸谷末九郎武田秀三郎久保初太郎の四人が協力することになった。新築寄附の申し出に対し、市会は直ちに寄附採納をし、堀江らは明治三十八年一月二日、旅順陥落の日を期して起工式を挙げた。建物の総坪数八〇坪、一階、二階とも約三〇坪、三階一八坪余、円屋根が二つある洋風建築である。一階は真中に事務室(兼図書貸借場)を挟んで左右に新聞閲覧室と婦人閲覧室があり、二階と三階に上がる階段は螺旋状になっている。二階には約七〇席の一般閲覧室と館長室と特別閲覧室があった。三十九年三月竣工、五月二十九日に落成式と開館式を挙行した。開館式が挙行されるまでに、私立弘前図書館の蔵書はすべて新設の市立図書館に引き継がれ、初代館長に市立弘前中学校東奥義塾の塾長杉山燾(とう)之進が兼務で就任したが、四十年四月大導寺繁禎が専任館長に任命された。

写真115 弘前市立図書館(上)と自他楽会に対する知事感謝状(下)