東北縦貫自動車道は、青森線の十和田-碇ヶ関区間(二八・一キロメートル)が昭和六十一年七月三十日に開通した。この結果、東北縦貫自動車道の浦和-青森間(六七四・七キロメートル)が全線開通し、首都圏と青森市が一本の高速道で結ばれた。
最終の工区となったのは秋田県側鹿角市十和田インターから青森県側碇ヶ関インターまでであった。この区間は、青森・秋田県境の山岳地帯を通るため、難工事であり、特に全長四二六五メートルと東北最長の坂梨トンネルの建設には、三年二ヵ月の歳月と二三〇億円の工費がかかった。
東北縦貫自動車道の全通により、首都圏と青森県は約二時間短縮されて約七時間半で結ばれることになり、地元では物資の輸送や、観光客の入り込みに恩恵を受けることになった。また、弘南バスをはじめ国鉄、岩手県北、岩手中央の各バスでは、前年の春以来、東北新幹線に接続する特急バス「ヨーデル号」を、弘前-盛岡間に運行してきたが、東北縦貫自動車道の全通に伴い、増便による新時刻表の運行を運輸局宛申請を行っている。それによると、弘前-盛岡間の所要時間は二時間一五分となり、従来に比べ三〇分間の短縮となった。また、上下線とも四本増便しての一三往復となった(『弘前商工会議所会報』三四八)。