【寺址】大通庵址は熊野町東六丁現熊野尋常小學校の所在地である。【沿革】始め茶宗津田宗及父宗達の菩提の爲創建し、春屋宗園を開祖とし、（茶人系傳全集）宗達の道號大通を以て菴號とした。宗及の子江月宗玩も亦大に此擧を授けた。（大通庵御作事日記）半井卜養軒云也は宗及の女を娶つて翠嚴宗珉を生んだ。翠嚴は大德寺に入り、又當菴を董した。菴は久しく半井家によつて支持せられたが、【廢絶】明治初年終に廢絶し、寺址は小學校の敷地となり、漸く北部の墓地を存して今日に及んだ。【建造物移轉】建造物は當時の堺縣令税所篤之を泉北郡神石村大字市の一路山禪海寺址に移し、住居とした。（堺市史蹟志料）【半井家墓碑】墓碑の主なるものには、擧明道三居士（春蘭軒の父利長）、三要澄玄居士（春蘭軒明親）、海心宗洙居士（牧羊齋）、古仙法印慶友居士（云也の父）、牧羊軒奇雲云也居士（慶友の嫡男）、牧羊軒主法眼雪嶺宗松居士、翠眼宗珉（宗松の弟、云也の男）、大通宗達居士（津田宗及の父）、法眼受世宗及居士（津田宗及、江月宗玩の父）等がある。