櫛笥寺は具足山と號し、一名本教寺、【位置】車之町東四丁字寺町にあり、日蓮宗立本寺末で、寺格平僧跡、【開基】明應元年櫛笥大納言隆朝の創建開基するところ、【開山】開山は本住院日深である。(略緣起、堺鑑中、社寺明細帳)【沿革】元和三年六月立本寺第十七世日泰導師となり、本堂落慶供養の式を擧げた。(櫛笥寺記錄)恐らくは兵燹後の再建であらう。次いで第八世靈鷲院日審之を中興した。(略緣起)是より先き、天正十四年七月豐臣秀吉築尾村に於て、【朱印寺領】寺領一石一斗の朱印を寄せ、德川幕府亦舊に據つたが、(朱印狀)明治四年正月上地した。【舊塔頭】寶永元年の記錄には延成院、久祥院、良圓坊、扇翁坊の四塔頭を擧げてゐる。(堺南北寺院塔頭之諸出家印鑑帳)【立本寺との關係】古來本寺立本寺とは極めて密接なる關係あり、同寺第九世大僧正日俊の如きは當寺に隱栖して、永正十四年十月遷化してゐる。(櫛笥寺緣起)【本尊】本尊は題目寶塔、釋迦、多寶二佛、文殊、普賢兩菩薩、四天王諸尊、宗祖日蓮、日審、鬼子母善神で、【堂宇】本堂、庫裏、門及び門番所あり、境内七百六十三坪を有してゐる。(社寺明細帳)