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豊平村ほか五カ村の状況

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 この時期の移住者の出身府県は、道内全体でみると二十年代(明治十九~二十九年)の場合、石川、青森、新潟、秋田、福井、富山、岩手、徳島、香川、東京の順となっていた(安田泰次郎 北海道移民政策史)。この傾向は札幌の周辺村落の場合はどうであったのか、残念ながら当時のデータが残っていないのでわからない。ただ豊平・平岸・月寒・上白石白石村の二十年代の統計が一部あり、また当時は札幌・苗穂・丘珠・雁来の諸村は全地域、及び篠路村・札幌区の一部であった現在の東区につき、移民系譜が『東区拓殖史』に収載されている。この二種のデータをもとに、当時の府県別による移住状況をまとめてみることにしたい。
 豊平ほか五カ村の統計は二十二・二十四・二十五・二十八年上半期の四種からなる。二十二年は道毎日(二十三年二月二十八日付)に掲載されたもので、以下は『豊平町史資料』に収録されている。いま五カ村へ一〇戸以上の移住者を出している府県を、戸数順にまとめると表8の通りである。これによると二位の広島県を除き上位は北陸の諸県が占め、中位は東京を除き東北、西南諸県が占めている。だいたい全道の傾向と合致しているといえる。
表-8 豊平ほか五カ村移住者の出身府県
No.府県明治22年24年25年28年上半期合計
1福井44戸152人25戸130人35戸122人22戸95人126戸499人
2広島128377025462885311
3富山1966127324113178472336
4石川156814691552155659245
5新潟259727311103640151
6秋田2811238482237130
7岩手103084112552232128
8青森144652184641731134
9東京1964519112584
10山形103411738272080
11徳島3151696731516103
12香川281813561672
13兵庫5112203165221569
14宮城3102103102101040
その他合計832107507210902120523
明治22年は『北海道毎日新聞』23年2月28日付、24・25・28年は『豊平町史資料』(札幌市文化資料室蔵)により作成。

 広島県が多いのは、いまの広島町は月寒村に入っているためで、表8の広島県出身者の多くは広島町へ移住した人びとである。福井県が他府県を圧するほどの高い数値を示しているが、五カ村の中で集団入植した所はなく、各村に個別分散的に移住していったとみられる。