以上のような各種奨励策のほか、巡回指導、各種品評会等を通じての指導・奨励が行われた。このうち『北海道庁勧業年報』に「農業指教」の名称で記載されている道庁の巡回指導について、二十七年中札幌区・郡を対象とした項目をあげると、「稲作授業」、「亜麻甜菜試作授業及監督」、「牛市情況視察」、「馬市情況視察」、「農況視察」などがある。また道庁が養蚕教師を嘱託して行った指導としては、「蚕業視察」、「桑園手入法示教」などがあげられる。
また道庁は勧業事業の一環として十九年に函館で、二十年七月に札幌で北海道物産共進会を開催した。札幌の場合は七月二十五日から八月三日まで中島で開催し、一万人余の入場者があった。陳列品を四区に分け、うち農業関係は一区(農産部)、四区(農具部)であった。同共進会はいったん中断し、二十五年にやはり札幌で会期を三十一日間として開催し、七万人以上の入場者があった。
この後は官設の共進会はなく、民設の品評会等が多く行われた。その大きなものは畜産・養蚕・果樹など全道規模で行われたが、同時に札幌郡では戸長役場単位での農産物品評会等が多く開催され、道庁はこれらに対して補助金を支給した。