そしてこの費目は、第五款衛生費第四項掃除費八目道路雪除費として、三十六年度の追加予算に一五〇円で計上された。決算額は五三円一〇銭である。以降の大正七年度までの決算額は、表14のとおりである。その後昭和二年まで除雪費は札幌区(市)の予算に計上されない。これは大正七年にできた路面電車の会社が、電車営業のために行うようになったためと思われる。そして札幌市がこの電車会社を買収して、電気局として電車の営業を開始したのが昭和二年である(札幌市事務報告 昭2)。
表-14 札幌区の除雪費決算額表 |
年 | 経常臨時費歳出合計 | 経常費歳出合計 | 除雪費 | 備 考 |
明36 | 109,644円372 | 83,688円440 | 53円100 | 第五款衛生費第四項掃除費八目道路雪除費, 予算150円 |
37 | 99,238.900 | 78,768.632 | 130.000 | 同上,予算150円 |
38 | 89,794.235 | 81,338.778 | 171.000 | 第五款衛生費第四項掃除費六目道路雪除費, 予算150円 |
39 | 112,812.642 | 86,738.342 | 145.000 | 同上,予算150円 |
40 | 131,229.807 | 100,609.033 | 150.000 | 第三款土木費第三項雑費三目道路除雪費, 停車場通道路除雪費 |
41 | 283,932.439 | 140,818.298 | 144.000 | 同上,予算144円,冬期四ヵ月間除雪費 |
42 | 244,800.309 | 142,149.878 | 144.000 | 同上,予算144円 |
43 | 341,654.232 | 165,368.800 | 100.000 | 同上,予算120円,入札ノ結果ニ由ル |
44 | 290,138.410 | 223,463.850 | 94.100 | 第三款土木費第三項雑費二目道路除雪費, 予算120円,入札ノ結果ニ由ル |
45 | 287,225.443 | 202,852.273 | 95.000 | 同上,予算100円,入札ノ結果ニ由ル |
大 2 | 282,234.222 | 194,197.172 | 90.000 | 同上,予算90円 |
3 | 281,300.489 | 206,886.349 | 90.000 | 同上,予算90円 |
4 | 255,924.403 | 218,025.203 | 90.000 | 第四款土木費第三項雑費二目道路除雪費, 予算90円 |
5 | 297,973.830 | 217,683.750 | 90.000 | 同上,予算90円 |
6 | 336,060.000 | 257,527.040 | 15.000 | 同上,予算30円, 除雪費ノ支出少ナカリシニ由ル |
7 | 404,072.260 | 351,367.540 | - | 同上,予算30円, 除雪費ノ必要ナカリシニ由ル |
1.明治40年分は決算報告が未発見のため予算額。 2.札幌区『区会関係書類』(明36~大9)決算報告より作成。 |
明治三十六年以降大正七年までの除雪範囲は、正確に把握できない。しかし三十九年度予算書の道路雪除費の備考に、「停車場通道路雪除費」とある(区会決議録 明39)。また『札幌区事務報告』の「自明治四十年十月至四十一年九月」「自明治四十四年十月至大正元年九月」「自大正元年十月至大正二年九月」では、除雪した長さをそれぞれ四二〇間、五四一間、五四〇間と記載している。新聞記事によると、四十三~大正元年について、「札幌区停車場通り停車場前より大通南側まで」(北タイ 大1・12・21)と記している。さらに先の議事録の内容と照らして推測すると、西四丁目通の札幌駅前と大通または南一条辺の間くらいを除雪していたようだ。
新聞記事によると、除雪作業は明治四十三年は停車場人(力)車組合に、四十四年は五十嵐某に、大正元年度は札幌市街馬鉄敷設許可条件に基づいて同会社に請け負わせている(北タイ 大1・12・21)。