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北海道博覧会と仏教界

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 大正七年(一九一八)、開拓使の設置以来五〇年となったので、北海道庁が中心となって盛大な開道五〇年の記念式典が行われた。そして札幌でも開道五〇年記念の大博覧会が第一会場の中島公園を中心に、八月一日から九月十九日までの五〇日間にわたって開催され、期間中市内は殷賑をきわめ、空前の博覧会景気に沸いていた(市史 第三巻七章)。これに合わせて各寺院や教団・宗派、あるいは仏教団体でも数々の記念法要や行事が執行され、この五〇年間が北海道開教の上でも重要な意味があったことを物語っている。
 各宗派では法主、管長などの要人を迎えて記念法要、記念伝道などが大がかりに催されていたが、まず本願寺街道の開削など北海道の開拓に深い関係をもっていた真宗大谷派(真宗は以下派名のみを記載)では、法主の大谷光演を迎え、九月五日に開教功労者追悼会、開拓記念法要を行っている。本願寺派では大谷尊由を迎えて、八月二十七日に拓殖功労者大追悼法要と記念伝道が西本願寺別院にて行われ、九月一日に全道仏教婦人会聯合大会、二日に会員追悼大法要を催している。
 日蓮宗では経王寺にて村雲日栄尼を迎えて、八月二十七日に村雲婦人会北海道支部記念総会、二十八日に追悼大法要を行うとともに、北海道開拓五〇年記念日蓮宗伝道会を設け、大日蓮主義の宣布の絶好の機会として講演会、路上伝道などの盛んな活動を展開していた。
 浄土宗の新善光寺では善光寺の大宮尼公を迎えて記念大供養、帰教式、施餓鬼会が行われ、また博覧会開催中、善光寺の開帳もなされ、真言宗では開道記念伝道本部を成田山新栄寺に設け、山階派管長和田大円、豊山派前管長権田雷斧などを迎えて九月一日から五日間、故拓殖功労者謝恩法会、記念伝道の講演が行われていた。
 このように盛んな行事が繰り広げられていたのも、当時、北海道がいまだ〝未開の布教地〟であり、教勢を拡大する上で重要視されていたこと、また開拓に果たした仏教の役割が高く評価されていたことを示すものであったろう。