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臨時経画調査委員の成果

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 区制の実施以降、札幌区ではその整備を図るためにさまざまな試みがなされてきた。特に明治末の青木区長、大正初めの阿部区長の時代には、統計調査や区勢調査などの諸調査の実施や、上下水道計画の策定などを行い、後にいう都市計画行政を進めようという意図があらわれていた。その中には、都市計画法を先取りしたような臨時経画調査委員会もあった。そしてその委員会で調査されたことは、それに続く都市計画行政を進める上で重要な参考資料となっている。札幌市の都市計画行政を見る前に、その臨時経画調査委員会の活動の様子を見てみよう。
 大正八年(一九一九)に設置された臨時経画調査委員は、七月各委員の部署が決定された。選出された委員は表1の通りである。
表-1 臨時経画委員会委員
 大正八年選出大正九年選出
区会議員大滝甚太郎,向井次郎,中西八百吉村田不二三奥山角三阿由葉宗三郎松本菊次郎,塚島由太郎,吉田茂人,助川貞二郎,塩崎勝郎,久保兵太郎,川村音吉,長谷川哲三郎大島金蔵,長屋平太郎高岡熊雄大滝甚太郎村田不二三松本菊次郎奥山角三,塚島由太郎,久保兵太郎奥泉安太郎中西八百吉,大竹敬助,吉田茂人伊達翁記計良翁助,助川貞二郎,古谷辰四郎,長屋平太郎
区公民高岡熊雄馬島渡,平塚直治,小山忠雄,秦勉造,土井良太郎,古藤猛哉,南鷹次郎,藤田昌古藤猛哉,池田慎太郎,山田幸太郎,平塚直治,秦勉造,土井良太郎,杉本喜久次郎,大滝甚太郎,南鷹次郎,藤田昌
都市改良部主査高岡,村田,大滝,平塚,向井主査高岡,大滝,村田,古藤,(兼務)杉本
財政部主査馬島,長谷川,塩崎,中西,久保主査松本,奥山,塚島,久保,池田
訓育部主査小山,阿由葉,松本,塚島,吉田主査山田,奥泉,中西,平塚,大竹
保健部主査秦,古藤,久保,吉田,奥山主査秦,吉田,伊達,計良,(兼務)藤田
交通部主査大井,川村,助川,大島,大滝主査土井,(兼務)杉本,大滝,古藤,助川
産業部主査南,藤田,長屋,松本,長谷川主査南,藤田,古谷,長屋,(兼務)久保
札幌区事務報告』(大8及び10),『北タイ』(大8.7.30,大9.12.17)より作成。

 九月十七日、産業部会が区役所で開催された。参加者は、南主査、松本、藤田、長谷川の四委員と杉本区助役、佐瀬第一課長、上杉区書記などで、多くの問題をあげて各委員の意見を問うた(北タイ 大8・9・18)。十月十六日には区役所で総会を開き、杉本助役が議長となって各部会に各種の事項を諮問し、各部会で問題の解決を促進する決議を行った。参加者は一八人であった(北タイ 大8・10・17)。翌九年六月十一日交通道路部会を開いた。土井主査、大滝、助川三委員と区長、五十嵐技師、大屋主事参与等が参加した。大体の方針を協議し、区内道路を三等級に区分し、人道車道の区分けを区役所が原案を出して協議することにした。
 十二月になると十一月の区会議員選挙に伴う委員の改選があり、部会の分担も変更した(北タイ 大9・12・27)。選出された委員は表1の通りである。
 大正十年になると区会で都市計画法の適用について話題になりはじめる。一月二十四日の区会で、区長が大正十一年度の予算説明をした際に、「計画調査費」の説明の中で「序ニ申マスルカ六大都市ニ都市計画法カ実施セラレ居ルカ、他ノ都市ニモ其申出ニ依リ必要ト認メラルヽ処ニハ漸次施行ノ運ビト相成ルニ付、道庁及内務省ヘモ当区ニ施行セラレ度旨ヲ書面ヲ以テ又本月初旬私事旅行ノ節モ内務省ニ赴キ大臣次官及山県課長ニ克ク陳述シ置キタリ」という都市計画法の摘要の申請について説明した(大正十年区会議事録)。
 次いで一月二十六日には坂岡議員からの質問に対し、高倉主事から六部会の調査から区是が決定すること、佐藤区長から財政部主査となっている前助役杉本喜久治郎の国内旅行の際に、内地各都市の状況を調査してくるという方針が示された。
 三月三十日には臨時経画調査会の総会が開かれ、方針を決定し、杉本喜久治郎を常務員に選出した(北タイ 大10・3・31、4・1)。次いで七月十三日計画調査会主査会が開かれ、報告会と今後の進め方について協議をした。十二月十二日総会が開かれ、高岡、杉本、山田、南、秦、土井の各主査と各委員が出席して、経過報告と意見交換を行った。交通を除く部会は近く具体的な報告を公表することになった。しかし現在の臨時的機関での報告では、市制施行後の施策には不十分なのは明白なので、経画調査は三月頃に発表し、市制施行後に都市計画部の事業に移すこととした(北タイ 大10・12・13、14)。それで大正十一年一月の区会で経画調査会を廃止して、都市計画係を置くことを提案したが、予算の委員会審議の過程で区側から撤回されている(大正十一年区会会議録)。その後三月には庶務課に併合されることになったという(北タイ 大11・3・8)。