表19を一瞥すれば、この時期の
札幌地域の農業の中で、稲作が最重要の位置づけを有し、米が最重要作物の一つであることは明らかである。とりわけ
手稲村の
西野米や
白石村の
厚別糯は、品種改良の効果も上り、「全道は勿論全国に著聞した」といわれるが、それらは何よりも造田のための絶えざる努力の賜物であり、土功組合の果たした役割を逸することはできない。この時期の
札幌の農業を語る場合、農業諸団体の果たした役割を重視しなければならないと考える本稿の立場からしても、土功組合の動向を無視することはできないのであるが、今回は土功組合について詳細に論ずる余裕がなく、表22・23及び若干の資料を示すにとどめたい。すなわち『
北海道土功組合史』(昭13)には、
札幌地域の土功組合の沿革や現状、さらに昭和二年度及び七・八年度に実施された土功組合特別助成などについて詳細である。また
拓北土功組合については、『拓北百年史』(昭55)を、
篠路兵村土功組合については、『篠路兵村の礎』(昭13)を参照されたい。
組合名 | 所在地 | 設立年月日 | 目的 | 工事竣工 | 工事費 | 反当工事費 | 許可反別 | 既成水田反別 |
新琴似兵村 | 琴似町 | 明37. 7.21 | 排水 | 明41 | 不詳 | 不詳 | 630.0町 | 不詳 |
篠路兵村 | 琴似町 | 大 2. 9.25 | 排水 | 大 9. 8.20 | 107,112円 | 15.71円 | 潅681.6 | 659.5町 |
| | | | | | | 排691.7 | |
篠路 | 篠路村 | 大11. 8. 4 | 潅漑 | (昭 9. 5.19) | | | 322.0 | |
篠路西 | 篠路村 | 大12. 2.23 | 潅漑 | (昭 8. 7.10) | | | 198.5 | |
下手稲 | 手稲村 | 大12. 7. 6 | 排水 | 大14. 9.28 | 38,740 | 8.40 | 461.1 | - |
拓北 | 篠路村 | 大13. 1.15 | 潅漑 | 昭 2. 6. 3 | 276,515 | 68.72 | 355.8 | 248.9 |
白石第一 | 白石村 | 昭 2. 5.15 | 潅漑 | 昭 3. 8.16 | 50,898 | 50.89 | 100.0 | 100.0 |
新琴似排水 | 琴似町 | 昭 4. 3. 1 | 排水 | 昭 4.10. 7 | 25,097 | 3.81 | 658.5 | - |
新川排水 | 篠路村 | 昭12.11.17 | 排水 | - | - | - | 2,206.8 | - |
北海道庁土木部土地改良課『北海道土功組合状況』(大15),同『北海道土功組合一覧表』(昭4),同『北海道土功組合一覧表』(昭9),北海道庁管内土功組合連合会『北海道土功組合史』(昭13),北海道庁振興部土地改良課『北海道土功組合要覧』(昭18)より作成。 |
組合名 | 作付状況 | 組合員数 | 負債総額 | 年賦金 | 経常費 | 反当組合費 |
田作付面積 | 同上反当収量 | 畑作付面積 | 総数 | 内不耕作者数 | 地区内耕作者数 |
篠路兵村 | 559.1町 | 1.601石 | 99.9町 | 197人 | 100人 | 114人 | 12,433円 | 1,216円 | 4,559円 | 70円 |
下手稲 | 21.4 | 1.550 | 60.5 | 56 | 33 | 22 | 1,615 | 1,667 | 987 | 47 |
拓北 | 246.2 | 1.600 | 109.6 | 8 | 8 | 86 | 201,216 | 17,969 | 27,452 | 13.49 |
白石第一 | 100.0 | 1.612 | - | 56 | 7 | 49 | 15,875 | 2,950 | 1,223 | 3.74 |
新琴似排水 | 625.0 | 1.601 | - | 122 | 55 | 67 | 5,462 | 1,039 | 977 | 30 |
新川排水 | 209.9 | - | 1,433.2 | 173 | 58 | 263 | - | - | 1,393 | |
北海道庁振興部土地改良課『北海道土功組合要覧』(昭18)より作成。 |
なお、
豊平川の治水事業を担い、水田開発に大きな役割を果たした豊平外四箇村(
札幌村、平岸村、
白石村、上
白石村)連合用水組合(明25・11設立)をとり上げなければならないが、これについても『
札幌市豊平外四箇村連合用水組合沿革史』(昭18)を参照されたい。