気象観測

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 箱館奉行所では、第1編で述べたように、安政元年から風向・風力・天気・気温・地震・雷など、気象に関する観測を行い、それを『村垣淡路守公務日記』に丹念に記載している。これは奉行の蝦夷地巡回中も行われ、単に箱館のみならず、広く道南、西海岸、東海岸、果てはオホーツク沿岸から国後択捉樺太に至るまでの広範なもので、北方の気象資料として極めて価値あるものである。箱館での観測は、安政元年8月から9月、同3年11月から12月、同4年3月から5年4月、更に5年8月から9月と4期間に分れ、朝夕2回定時に行われたようである。特に4年から5年にかけてのものは、長期にわたる連続観測としてまことに貴重な資料であった。
 観測は外人によっても行われ、ペリー一行もこれを行い、ロシア人医師アルブレヒトも、安政6年から2年間にわたって観測しているが、これには寒暖計などの測器を用いて、かなり高度なものであった。このほかブラキストンによっても行われており、それが明治になり福士成豊に受け継がれ、わが国最初の測候所となった。