万延元年(一八六〇)の「津軽道中譚(つがるどうちゅうたん)」(資料近世2No.四四四の書名は「滑稽嘘尽戯」、一般になじみ深い書名を本巻では挙げた)には、年齢から生まれた年の守本尊を捜し、占いをしている様子が記され、幕末にはこの信仰が成立していた。京徳寺・神宮寺(現南津軽郡尾上町)の十二支堂、袋宮寺の三夜堂(辰・巳・午)にも一代守本尊が祀られた。
表36 津軽の一代本尊 |
干支 | 守本尊(八大菩薩) | 津軽の一代様 |
子 | 千手観音 | 目屋清水の観音(多賀神社) |
丑・寅 | 虚空蔵菩薩 | 百沢の虚空蔵(求聞寺) |
卯 | 文殊菩薩 | 兼平の天満宮→天満宮(弘前) |
辰・巳 | 普賢菩薩 | 愛宕様(橋雲寺) |
午 | 勢至菩薩 | 袋の観音(白山姫(はくさんひめ)神社) |
未・申 | 大日如来 | 大鰐の大日様(大円寺) |
酉 | 不動明王 | 古懸不動(国上寺) |
戌・亥 | 八幡大菩薩 | 八幡宮(弘前八幡宮) |