営業税雑種税賦課法の審議

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明治二十一年(一八八八)には弘前総町聯合会営業税雑種税賦課法の審議が行われた。これは県庁作成の原案を弘前総町聯合の理事者が修正し、これを総町聯合の審議に付したものである。質疑の一端は次のようになっている。
十九番藤岡知言曰く「大体に付質問あり。等級を二九等と分けし、何等の目易に依れるや。」

番外須郷楯雄曰く「県庁にて定めたる税率は最下等を八十銭とせし者を斟酌して四十銭とす。最上等を四十円とせし者を斟酌して二百五十円とせは、自ら二九等と別せらるるなり。」

十九番藤岡知言曰く「最下等の四十銭と最上等二百五十円と段々等差を立るときは、二九等に別せらるへけれども、其基きし所は何に依れることにや。」

番外須郷楯雄曰く「二十年度に於て、弘前の営業雑種税の賦課高は六千三百何十何円なるが、一円に付十二銭平均なるが、二十年度の税率を基にし、及び県庁にて十八年度に定めたる税率と十五年より二十年に到る税率を比較し、彼是斟酌して二九等に別せしなり。」

 原案として提案された賦課法案のうち、営業税第一種商業税の等級と人員は表13のようになっていた。
表13 営業税第1種商業税原案
等級人員(人)税率(円)課額(円)
11250.0250.0
22100.0200.0
3190.090.0
4273.0146.0
5764.0448.0
6553.0265.0
7248.096.0
8542.0210.0
9637.0222.0
10331.093.0
11827.0216.0
121121.0231.0
132018.0360.0
141416.0224.0
15515.075.0
162013.0260.0
17711.077.0
182610.0260.0
19269.0234.0
20228.0176.0
21217.0147.0
22516.0306.0
23505.0250.0
24674.0268.0
251093.3359.7
261422.3326.6
272861.5429.0
282020.8161.6
29460.418.4
合 計1,1676,399.3
ほか免除15
『明治21年度弘前総町臨時聯合会筆記』により作成
注)数値の誤りを補訂した。

 以上のほか、料理屋湯屋、理髪に関する雑種税第一種に関する租税賦課案があった。審議の過程においては、各等級に該当する個人名が入った表が配付され、それぞれについて妥当性が検討された。検討に先立ち五人の調査委員が選挙により選ばれた。同票の場合は年齢順で、同年齢の場合はくじ引きとされた。実際、第五位の委員につきくじ引きが行われ、出町大助菊池定次郎成田利助佐藤豊吉野村勝太郎が当選した。こうした経過を経て賦課についての修正案が作成された。修正案(査理修正案)の冒頭は次のように書かれている。
一等税率ヲ弐百三拾円トス。
二等税率ヲ百三拾円トス。
(中略)以下順次繰下ケ抵等ス。
(『二十一年度弘前総町臨時聯合会筆記』)

 以下、高額納税者から順に修正が行われた。こうして、大道寺繁禎寺井純司ら、青森県政界の有力者が顔をそろえた弘前総町聯合会は、重要事項を審議、決定していった。このように、地方自治の体制は、内実を伴って次第に充実していったのである。