六・三制の学校制度については、内閣に設置されていた教育刷新委員会(委員長阿倍能成)の特別委員会で検討、昭和二十一年(一九四六)十二月二十日の総会で「修業年限三年の中学校を置くこと。この制度は二十二年四月から実施すること」などの議決が行われていた。これを受けて青森県民生部でも十二月九日、県下各地方事務所長宛に「義務教育延長に伴う準備資料調査について」という通達を出しているが、これは六・三制実施のための、いわゆる「仮称初級中学校」についての調査である。その内容は「計画実施要領」を検討の上、各郡市町村の実情に即し、具体的な実施計画案を立て、十二月二十三日までに県庁教育課に提出せよ、ということであった。「計画基準要領」は、次のとおりである。
・修業年限三ヶ年、義務制、昼間全日制とすること。
・校舎は独立校舎とすることを原則とすること。
・男女共学を原則とすること。
・一学級の生徒定員は五十人を標準とすること。
・教員は一校につき、校長の他事務官一人、一学級毎に教員二名をおくこと。
昭和二十二年二月五日、文部省は、連合軍総司令部等の強い要望もあり、「新制中学校は二十二年度から発足する」と発表、四月実施が正式に決まった。これを受けて、弘前市の新学制実施準備協議会が三月十五日市役所内で開かれたが、市内各学校長及び互選された教師と、父兄代表の二七人が出席。議長に時敏校の土屋直好を推し、三時間余にわたって熱心に討議した。その結果、弘前市の新制中学校は次のとおり発足することになった。
・第一中学校-時敏校に併置し、時敏・和徳部内の生徒を収容、一年七学級、二年五学級、三年一学級
・第二中学校-商工学校校舎を使用、城西部内及び高等科生を収容、一年三学級、二年四学級、三年二学級
・第三中学校-市立高女の校舎を使用、一大、二大部内の生徒、一年九学級だけを収容
・第四中学校-旧兵器部建物を使用、朝陽部内生徒を収容、一年五学級、二年一学級