大正7年(1918)に開館した岡山市立図書館(右写真)は、昭和20年(1945)の戦災で建物と蔵書の大半を失いましたが、戦後は復興に努め、令和6年(2024)の時点で蔵書数は約180万冊に及び、中央図書館と9つの地区館等で業務を行っています。
当館は、図書資料はもちろん、古文書、古地図、歴史公文書、書画など、岡山の歴史にかかわる多様な資料を収蔵していますが、これは「岡山のことなら何でもわかる図書館」を目標にかかげ、関係各方面からさまざまな寄付を頂いて充実してきたものです。
岡山市は、戦国大名の宇喜多氏が旭川河畔に築いた岡山城の城下町に由来しますが、明治22年(1889)の市政施行以来、隣接の自治体と合併を重ねて岡山平野の全体とその近辺にわたる広域都市になっています。
この地域で暮らす人は、児島湾の干拓で生活圏を広げ、温暖な気候のもとで自然の恵みを享受してきましたが、水をめぐる諸権利の調整や、水害、感染症など、低地に特有の問題にも取り組んできました。
このアーカイブには、以上のような歴史条件のもとで織りなされてきた岡山市域の先人の歩みがわかる資料を収録しており、今後も充実に努めることにしています。
当館は多くの図書資料を日本十進分類法で配架していますが、古文書や特定の個人にゆかりのある資料など、来歴上のまとまりを保つ意義が認められるものは特別文庫として別にしています。
特別文庫は、戦前には高橋文庫(岡山医学専門学校教授、高橋金一郎氏の旧蔵書)と山田文庫(歴史家、山田貞芳氏の旧蔵書)がありましたが、戦災で多くが失われました。
戦後は国富文庫(幕末に岡山城下町の惣年寄役を務めた商家、国富家の文書)の収蔵以来、多方面から貴重な資料の寄付が相次ぎました。
また、昭和30年(1955)には市史編纂のため、その頃に岡山市と合併した旧自治体の保管文書が収集されましたが、それらは当館で「町村文庫」として保存されています。
ここでは特別文庫を中心に、関連する資料や他の一括保存資料をまとめて、来歴に沿って資料をたずねられるようにしています。
画像:河本立軒像
「岡山市立図書館デジタルアーカイブ事業」は公益財団法人図書館振興財団の2023年度提案型助成を受けて実施しています。