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写真-7 蝦夷地絵図 東京大学史料編纂所蔵 |
本図の特徴は、北海道本島を淡彩で描き、おもな山岳、河川とその名称を記載し、開設予定駅路を朱線で、また現行交通路を黒線で示すとともに、一里ごとに黒点を打っている。さらに、地形、行程、風土、植生等については、至近の図上または余白を用いて詳細な説明、意見を記入するとともに、蝦夷地地理の概説と思われる四カ条を図の右下に記している。本図作成は、その四カ条によると、
此図ハ蝦夷ノ地エ二十年来数十度往返セシモノト、天明以来六度往返セシモノ昌奥ト相謀テ、其地ノ開業ナルヘキコトヲ思テ竊ニ図ヲ製シ後末ニ至リテ処置ノ仕方ヲ記スル所ナリ。原図二本今併テ一トナス。
とあるごとく、蝦夷地へ二〇年間に数十回往復した者と、天明以来六回往復した者の話や、さまざまな資料をもとに、しかも「開業ナルヘキコト」を前提に描いたのが、この『蝦夷地絵図』であった。
本図でまず注目されるのが、山嶽は青色、岩山・焼山を赤黒色に、「耕作之地ト可成所」は黄色にと、土地を種類別に色分けしているのをはじめ、「惣守護可置所」、「陣屋番所等可立所」には各種印をもって示していることである。実際図上では、イシカリ川上流のカムイコタンより上に「惣守護可置所」の印を、またイシカリ川口には「石カリ交易所」の朱色の△印を八個、マシケとタカシマには、朱色の「陣屋番屋等可立所」の印を付している。