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勧業・勧農

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 これは興業殖産と拓地殖民の二つの目的からなる。
 興業殖産と拓地殖民をそのおもな目的とした組織体には、表11のようなものがあった。
表-11 興業殖産・拓地殖民団体
団体名目的・活動状況
北水協会水産奨励。会頭伊藤一隆。北三西七に事務所を置き、二十六年現在会員数五九九人。年会費金二円四〇銭。
勧農協会農業奨励。十四年勧農協会規則を設け、会頭堀基、会員九〇余人で発足。『勧農協会報告』を刊行。二十六年会頭佐藤昌介、会員五四二人。北五西七に事務所を置く。
北海道蚕糸協会蚕糸奨励。会頭足立元太郎大通東一に事務所を置く。二十六年会員数六四人、年会費金三〇銭。
北海道果樹協会果樹奨励。会頭南鷹次郎。二十六年会員数五六人、年会費金五銭、事務所南六西四。のち南二西一に移転。機関誌発行。
北海道農会農業改善発達。豊平村阿部仁太郎宅に事務所を置き、のち大通東一の北海道蚕糸協会に移転。月次会、総会で農業に有益な演説。大日本北海道農会事務所も併置。
札幌商業倶楽府(部)商業振興。二十四年創設。小塩武吉山崎孝太郎、有田信等諸氏。事務所南四西四山崎氏方。府長有田氏。三十二年幹事新田、前野、谷氏。
札幌商業研究会商業振興。三十一年十一月二十三日発会式。会長新田丑市。例会。会報の発刊。
北海道通信会農漁商の実況を各地有志者の諮問に答える。二十四年里村太利の発起により、大通西二に設立。会員募集。
北海道経済会経済事項を講究し、本道経済を補助す。二十四年設立。会長佐藤昌介土田政次郎、幹事村尾元長阿部宇之八。毎月常集会。『北海道事情一班』出版。委員をして調査。項目に交通、労力、銀行、土地、移民、財務。
北海道協会支部拓地殖民生産事業の普及。本部東京。会頭近衛公爵。三十年札幌支部会員一三二人。団体移住者等の問合せに応ず。三十一年本部を北海道に移す。三十二年十月現在会員数一三〇〇人。
北海道同志倶楽部拓殖。三十一年北四西四に事務所を置く。本道拓殖に関する諸問題を研究調査する非政社集会。
北海倶楽部拓地殖民その他。二十二年有志設立。北海道の拓地殖民事業を進捗発達せしむこと、諸般営業を改良進捗せしむこと、相互交際等を目的。

 このように、その設立目的は北海道の農業、漁業、商業、工業にいたる、はたまた拓地殖民を奨励するための組織体であった。その会員は札幌のみならず全道にわたり、北海道協会札幌支部にいたっては、東京を本部とし近衛公爵を会頭に据えた全国規模の組織であった(明治二十六年設立)。ひとしくその目的とするところが、北海道を経済的発展の場ととらえ、それぞれの利益追求のための研究、調査、互助組織的な色彩を帯びていた。札幌の農業団体、商工団体の萌芽がここにみられよう。