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雑誌か新聞か

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 この時期は雑誌の刊行も盛んで、『札幌区統計(書)』及び『札幌区統計一班』によると、表6のような雑誌類が発行されている。ほとんどが機関誌として刊行されているが、この時期は新聞も雑誌も明確な区別がなく、雑誌といっても新聞と全く同じ役目をしていた。ただ実態論からいえば、「時事問題」を扱っているかどうかで新聞と雑誌の区別がついた。たとえば『五番舘タイムス』は形式は新聞だが、内容は「商品」の紹介であり、「時事問題」は取り扱っていない。ゆえに、これは雑誌である。
表-6 明治・大正期の雑誌
題名年月題名年月
園芸42. 7北海道教育会雑誌明25. 9
北海衛生時報43. 3北海之教育25.11
同志43. 4北海道教育25.11
北海商業新報43. 5師友30. 1
独立協会々報43. 6北海教報31. 1
札幌商報43.10使命31. 1
北海エコー43.10如是観32. 5
新実業界43.12北海道農会32. 6
将校ノ友43.学友会雑誌32. 7
火防ト衛生44. 4農家ノ金庫32.12
北海衛生44. 4鶏鳴32.12
北海道園芸会44. 9北海道実業新報32.12
火災44.10北海道林業会34. 3
北海之教育44.12北海道畜産会々報34. 6
日章旗44.12北海ノ蚕業34. 6
北海薬報45. 4殖民公報34. 9
景気世界45. 4北海医報34.10
北光大 3. 4北海道鉱業新報35. 1
北星3. 6新社会35. 4
大正農報3.12北海道教育雑誌35. 9
札幌農園報4. 2北星斯新35.12
北海報知4. 2北海団々珍報36. 4
北海道運輸新報4.12北海道蚕糸会報36. 5
光明4.12北海道庁公報36. 8
道民4.12海友36. 9
北之友5. 1北海道蚕種会報36.10
北海之光5.11北世界36.11
北海民声5.11北海水産新報36.11
北海之水産6. 2北海税務誌叢37. 1
良民6. 4北海実業新報37. 3
北海メソヂスト6. 8北海道水産雑誌37. 4
北海之新教育6. 8北海英才新誌37. 6
北海道医事新誌6.11北海道気象年報37. 7
北海道連合教育会報7. 8北海道気象月報37. 7
北海医事新報7.10農桑月報37.10
北海政論9. 7白薔薇37.10
十一州9. 7北海演芸38. 1
北海青年9.10赤十字新報38. 8
旬刊道報10. 6演芸ト広告38.10
聖き響10. 9北海光39. 2
日曜講壇10.11公報40. 4
北海ガゼット11. 1畜産雑誌41. 3
民衆宗教11. 1北海道鉱業会々報41. 7
元気11. 6鉄道時報41. 9
大北新報11.11札幌農林学会報41. 9
大正国民11. 愛之光41.11
札幌区教育会興業界42. 4
歩み五番舘タイムス42. 5
遠友夜学校月報農友42. 7
北海之農友42. 7
1.「年月」は,開業あるいは第三種郵便物の認可を得た年月。
2.『札幌区統計一班』『札幌区統計(書)』より作成。

 この当時の雑誌は時事問題を掲載しない代わりに、紙面編集の主体を官庁令達、評論、投書、雑報などにおいていた。発行形態もほとんどが週刊、旬刊、月刊などの形態をとり、ページ数も多く小冊子スタイルなのが特色であるという。内容は政治的なものが中心であったため、出版法(明26・4・14公布)の規制を受けるもの以外は、すべて新聞紙法(明42・5・6公布)の対象となっていた。
 時事問題を扱わない雑誌に対して、それを扱う新聞は新聞紙法第一二条により、発行保証金を納めなければならなかった。ところが、実際に発行された新聞には「有保証新聞」(正式に発行保証金を納めて時事問題を掲載している新聞)と「無保証新聞」(保証金を納めない代わりに時事問題も載せない新聞)の二つの形態があった。当時の雑誌のほとんどは、この「無保証新聞」に属していた(北海道・樺太の新聞雑誌)。