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観光資源の多様化

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 三十七年二月第二期北海道総合開発計画の策定に続いて、同六月『北海道長期観光計画書』が作成され、新たに冬季観光の振興と産業としての観光に焦点があてられるようになった。
 札観協では産業観光施設の第一次候補として、林業試験場・水産ふ化場・農業試験場・工業試験場・雪印乳業工場・サッポロビール工場・古谷製菓・日本清酒・中央卸売市場の九カ所を指定し(道新 昭36・9・16)、翌三十七年観光バスにも産業コースが新設された(表35)。
 表-35 主要産業観光見学者数(単位:人)
年度サッポロビールアサヒ
ビール
古谷製菓雪印乳業北海道
新聞
北海タイムス社NHK札幌放送局北海道
放送
日糧パンコカ
コーラ
札幌
テレビ
昭42626,596182,19948,22273,690218,69537,8111,60955,1599,211
 43685,051268,10548,68168,375215,66528,88192845,4448,972
 44645,914247,54440,97244,750197,24729,1351,45850,8907,9249,80216,192
 45632,592253,34034,50944,884187,60824,7231,40444,76812,31510,60018,441
 46733,469319,96835,26393,000205,95522,5311,78814,75310,86019,9479,404
 47600,209292,08436,26819,544189,04318,9081,11511,30019,19212,755
『札幌市の観光概況』より作成。
昭和46,47年「NHK札幌放送局」は増築のため休止。

 冬季観光の振興については、北海道ではその自然条件から、秋から冬にかけて観光客が落ち込むことは避けられず、このため、来道客が集中する四月から九月の半年間で売上げを確保しなければならなかった。このことが短期間で荒稼ぎしようとする業者を生み、また、従業員を長期にわたって雇用できないことが、サービス教育を徹底できないという状況をも生んでいた。したがって観光の通年化は、観光産業の振興のみならず、サービス改善の面からも克服すべき課題として、札観協では道の観光機関よりも早くからこの問題に取組んでいた。
 二十五年二月第一回雪まつりが開催され、市民のための北国の冬を楽しむ祭典は、「年々盛んとなり、全国でも相当に知られ」(広報 昭29・1・1)、またたくまに冬の観光行事として広まった(さっぽろ雪まつり50年)。しかし雪まつりだけで観光客を誘致することはかなわず、そのため札観協は第九回国体冬季大会スケート競技大会(昭29・1)、第三三回全日本スキー選手権大会(昭30・2)等とタイアップして宣伝強化をはかっていた。さらに札観協は、三十三年から観光映画・ポスター展・定期観光バスの開設等、とくに冬の観光宣伝に力を入れたところ、なかでも円山総合グラウンドから望む荒井山ゲレンデ、藻岩山ロープウェイ、中島公園池のスケート場と三平汁の昼食を組合わせた観光バスが人気を集め(道新 昭34・1・31、36・1・17)、これまで札幌観光の致命的な弱点とされた〝冬〟が、観光シーズンとして見直されることとなった。
 三十四年十月、市と札観協は冬の観光客誘致対策打合会を開き(道新 昭34・11・1)、三十六年から誘致団の派遣や宣伝文書の作成、東京での展覧会等、本格的な活動に乗出した(道新 昭36・11・10、39・9・22夕、40・11・30)。
 一方、道の観光課は四十年十一月冬季観光対策推進協議会を設置し(道新 昭40・10・3)、四十二年「北海道冬まつり」と銘打って、雪まつりをはじめとする道内二〇の代表的な行事を一元化する方針を打出した(読売 昭42・10・30)。その結果、翌年には早くも秋冬の観光客が増え始め(道新 昭43・5・28)(表36)、冬季五輪の開催は、さらにウィンタースポーツ施設の整備とともに、宣伝強化の面からも冬季観光の振興に拍車をかけることとなった。
表-36 四季別観光客数(単位:人)
年度3~5月6~8月9~11月12~2月
昭394,176,389829,9331,859,138963,645523,673
 425,629,696961,0022,470,6751,336,773861,246
 436,553,9991,049,0473,218,7011,399,526886,725
 446,877,7191,159,3203,148,3751,588,827981,197
 457,317,9181,190,2883,462,4311,657,8181,007,381
 468,606,8051,338,8184,039,3411,899,3031,329,343
 478,911,8961,365,1504,091,4192,046,9681,408,359
昭和39年度は『北海道観光便覧』,昭和42~47年は『札幌市の観光概況』より作成。