昭和二十一年四月から二十五年一月まで、札幌の新日本文化協会から児童文芸雑誌『北の子供』が刊行された。編集発行は佐藤信一で、二号から和田義雄。創刊号には松田善雄、中村篤九、白坂道子、桜井忠などが童話や詩を発表している。主な執筆者は疎開中の百田宗治はじめ和田徹三、吉田十四雄、加藤愛夫、更科源蔵、支部沈黙、木村不二男、石森延男、塚本長蔵、小田邦雄などである。谷暎子の「プランゲ文庫にみる札幌の児童出版物」(「札幌の歴史」第三八号、平成十二年二月)によればアメリカの州立メリーランド大学・マッケルディン図書館にあるプランゲ文庫に占領期に検閲を受けた雑誌、単行本の厖大な資料の中に札幌で出版された出版物があり、その中に『北の子供』も入っており、「大東亜戦争」を「太平洋戦争」と直すように指示された例が示されている。児童雑誌はほかに二十一年四月創刊の『おはなし』(編集・杉岡孝之)、同年五月創刊の『ひばり』(編集・加藤保)がプランゲ文庫にある。また、二十一年から二十四年に児童書を出した札幌の出版社が三六社に及んだとして書名と作者一覧表を付している。