氾濫原のうち、後背湿地にあたるのが駒越面である。岩木川以西では清野袋面の背後に位置している。東方では自然堤防と後背湿地が南北に並行する形で配列し、おもに水田として利用されている。五所川原堰、柏木堰、三千石堰などの灌漑用の用水路が開削されている。
駒越面は駒越付近の標高三〇~四〇メートル間では一〇〇〇分の二~三とやや勾配が認められるが、下流側の中崎・三世寺以北の二〇メートル以下では一〇〇〇分の〇・五~〇・六と低平である。
ボーリング資料によると、駒越⑲(三三メートル)では最上部に円礫を少量含む黒褐色の有機質粘土(厚さ約二メートル)が堆積し、下位には径二〇センチメートル大以下の円礫を多量に含む砂礫層が五メートル以上の厚さで堆積している。致遠小学校(二七メートル)では最上部に約三メートルの砂質シルト~細粒砂(N値二~八)が、下位には一〇メートル以上の砂礫層が堆積している。
一方、岩木川以東の板柳地区では上部に湿地性の堆積物としてのシルトと砂の互層が厚く堆積している。板柳南小学校(一七メートル)、板柳北小学校(一五メートル)および町農業者トレーニングセンター(一七メートル)では上位に厚さ一六~二〇メートルに及ぶ粘土質シルトと砂の互層(シルト部分がN値四未満で、砂質部分が一〇未満)が堆積し、下位には一〇メートル以上に及ぶ砂礫層が堆積している。砂礫層は含水性が高く、未固結で崩壊が著しい。北小学校では地表下約二メートル・七メートル・一〇メートル付近に、南小学校では地表下約四メートル・一四~一五メートル・一九メートル・二一メートル地点に埋もれ木が確認されている。ところで、板柳町の幡龍(ばんりゅう)橋および鶴田町の鶴寿(かくじゅ)橋下の岩木川の河床において約二〇〇〇年前の埋没樹が確認されているが(第一章第一節 写真4)、地表面から河床面までの高低差を考えると、南小学校での地表下約四メートル地点に含まれる埋もれ木がこれに相当するものと考えられる。