青森六五センチメートル、五所川原六〇センチメートル、蟹田三四センチメートル、弘前四〇センチメートル、黒石四五センチメートル、碇ヶ関六三センチメートル、今別五〇センチメートル、鰺ヶ沢四八センチメートル、深浦三六センチメートル。
平地で五〇センチメートルを超えているのは、青森~五所川原の例年の多雪地帯で、今別(いまべつ)・碇ヶ関も五〇センチメートル以上だが山沿いに近い台地または高地になっている(表18)。また雪の降り方をみると、寒冬多雪年には連続的に大雪が降ることがある。例えば、青森市で、昭和五十九年(一九八四)十二月二十四日から二十八日の五日連続で、合計二〇三センチメートルの里雪型の大雪が降っている。
積算降雪量分布の作成で困るのは、降雪・積雪観測施設が少なく、特に山地積雪寒冷地では極端に少ないことである。それに山地は平地に比べ、観測が不定期であったり、資料年数が短いなどの問題がある。そこで平地の観測値を母体に冬期(山地十一月~四月)アメダス降水分布なども併せ用い、総合して寒候期間積算降雪量分布を作成した。
平地では、海峡側から西海岸が三メートルの少雪域。それより内陸にかけて距離に比例するように多雪になる。平均標高の高い八甲田山地の最多は一五メートルを超え、多雪地帯は西部白神山地で一〇メートルを超えると思われる。
平地の多雪地域は、青森湾沿岸の青森市を中心とした東西の地帯で、降雪量は五メートル。青森市は六メートルと極めて多い。青森市周辺の多雪には異色性がある。月別降水量による年間での最多は二月で、一月が次いで多い。国内で冬期間に月別降水量の最多月が現われるのは類例がなく、いかに降雪量が多い都市かがわかる。青森平野は、東部、西部の山地に挟まれ、南方には八甲田山があり、風上側の南西側に袋状の津軽平野南部地域がある。西寄りの季節風は袋状の津軽平野南部で拡散し、それが八甲田山系の風上斜面側を迂回する収束帯を形成するという特殊な地形によるものと思われる(アメダス風向分布の事例による)。
津軽平野は、岩木川に沿う北西方を除き山地多雪地帯に囲まれ、弘前、中・南津軽地域は、四メートル台の相対的な極少域になっている。西方に岩木山(標高一六二五メートル)があり、地域はこの風下斜面側に位置するなどで少雪域になっていると思われる。
一九五〇年から一九九〇年の期間で、青森市の年間降雪量の大雪年に、一九七〇年、一九七七年、一九八三年があり、約一一メートルで平年の約二倍と大きい。少雪年では、一九五九年、一九七二年などがあって、約四メートル台で平年の七〇%と平年比が小さい。しかし、両者には七メートルの差があり、年による年間降雪量の振幅が大きいことを示している(表18)。