津軽家と親交のあった参議(さんぎ)、西洞院(にしのとういん)時慶の日記。天正十九年(一五九一)から寛永十六年(一六三九)にかけての記録で、全七二冊。時慶は後陽成天皇(ごようぜいてんのう)の側近として、豊臣政権から徳川政権へ移行する激動期において朝議に参画し、公家や諸大名との交流を持った。慶長期の政治情勢や、豊臣・徳川両氏と朝廷との関係を知るうえで基本的な文献史料。時慶へ宛てた津軽信建(のぶたけ)、信枚、建広らの書状が「時慶卿記紙背(しはい)文書」として残っており、その写真版が弘前市立図書館に架蔵されている。「時慶卿記」ならびに「時慶卿記紙背文書」の原本は京都の西本願寺所蔵。