電灯業の発展

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明治三十四年(一九〇一)に弘前電灯株式会社が設立された。前年の三十三年に電灯営業願が弘前電灯株式会社の設立発起人から逓信大臣の星亨あてに出された。発起人は松木彦右衛門宮本甚兵衛菊池定次郎、中田角七、大道寺繁禎ほか合計三〇人で、弘前市の有力経済人が名を連ねていた。
 営業願によると、弘前電灯株式会社は、清水村大字富田に発電所を設け、汽灌(かん)を動かして発電機を回転させ、二〇〇〇ボルトの電流を発生させて各方面に送電する仕組みになっている。当初の電力の供給域は、弘前市と清水村大字富田、堀越村大字取上であった。
 同社の発電力や供給地域はその後、明治後期にかけて次第に増加していった。その様子は表44のとおりである。電力の使用については、街灯、各戸引用灯、動力として使用された。その内訳は表45のとおりである。
表44 弘前電灯株式会社電灯電力配電域及線路
年次配電発電
所数
配電
所数
配電機関電線
発電機
基数
発電
原動力
電力現在
電力
線路長線條長
明治39年弘前市、中津軽郡清水111蒸気力
150馬力
75キロワツト52,7713里27町8間5尺11里28町25間4尺
  40年同 上11152,3083里29町27間5尺12里9町1尺
  41年同上以外
黒石町、尾上村、山形村
112水力
480馬力
240キロワツト200,000
18,9

51,2
  42年同 上112200,00023,179,6
  43年同 上112200,00024,684,2
前掲『弘前市商工人名録 附商工要覧』

表45 電灯電力供給高
年 次電 灯 供 給動力供給
孤状灯街灯白熱灯
街 灯各戸引用灯使用戸数動力数
基数燭力基数燭力引用戸数灯数燭力
明治39年1485,7652741,60947,006
明治40年1425,5702751,62346,738
明治41年1561,2856422,58621,892310HP
明治42年2381,9201,1733,25925,6801887.5HP
明治43年2492,0131,3674,15734,5993115.0HP
前掲『弘前市商工人名録 附商工要覧』

 次に、明治末期の電灯使用戸数は急増していった。表46に見るように特に一般住家での電灯使用の増加が著しかった。こうして電灯が普及していったが、その度には種々あり、一〇燭、五燭電灯が多く普及した。その様子は表47のとおりである。
表46 電灯使用戸数類別
類 別明治39年明治41年明治43年
使用
戸数
点灯
個数
燭力使用
戸数
点灯
個数
燭力使用
戸数
点灯
個数
燭力
官公庁1699727,916181,0409,850211,07510,280
学 校8282671135332
会社銀行71552512383621542400
工 場1220
劇 場12794526582666
一般住家25057017,6206021,58012,6401,3173,24625,532
2741,60947,0066422,74223,1771,3674,40636,630
前掲『弘前市商工人名録 附商工要覧』

表47 電灯燭力別
明治43年12月末日現在
燭別市内灯数市外灯数合計
室内灯街灯室内灯街灯
5燭1,1921252611,579
8燭28817517822
10燭1,557669951,727
16燭1553539229
35燭48149
前掲『弘前市商工人名録 附商工要覧』