【
荒木氏】
北向道陳本姓は
荒木氏。堺舳松の人。家世々革屋を業とし、富豪を以て聞こえた。(
妙法寺過去帳)北向の家に居るを以て氏とした。
茶湯を好み、法を
空海に受けて其技に長じ、(茶人系傳全集)後之を
千利休に傳へ、【茶道の宗匠】
武野紹鷗の歿後宗匠となつた。(
南坊錄、茶人系傳全集)又禪門に入り、普通國師に參して、
南宗寺の外護者となつた。(
堺鑑下、茶人系傳全集)道陳の座鋪は西うけであつたので、或人が晝の客に西日がさし入つて惡からんと批難したが、道陳は吾は朝ばかり茶會をするから、西日の善惡は覺えないと答へたといふ。以て其面目の一端が窺はれる。(
茶湯古事談)【名醫圓璡の外舅】道陳は亦名醫藥師院圓璡の外舅に當つてゐる。(數寄者名匠集)永祿五年正月十八日享年五十八歳を以て歿した。(案人系傳全集)中之町東三丁
妙法寺に其墓碑がある。
第二十四圖版 北向道陳塔