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(八〇)北向道陳

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 【荒木氏北向道陳本姓は荒木氏。堺舳松の人。家世々革屋を業とし、富豪を以て聞こえた。(妙法寺過去帳)北向の家に居るを以て氏とした。茶湯を好み、法を空海に受けて其技に長じ、(茶人系傳全集)後之を千利休に傳へ、【茶道の宗匠】武野紹鷗の歿後宗匠となつた。(南坊錄、茶人系傳全集)又禪門に入り、普通國師に參して、南宗寺の外護者となつた。(堺鑑下、茶人系傳全集)道陳の座鋪は西うけであつたので、或人が晝の客に西日がさし入つて惡からんと批難したが、道陳は吾は朝ばかり茶會をするから、西日の善惡は覺えないと答へたといふ。以て其面目の一端が窺はれる。(茶湯古事談)【名醫圓璡の外舅】道陳は亦名醫藥師院圓璡の外舅に當つてゐる。(數寄者名匠集)永祿五年正月十八日享年五十八歳を以て歿した。(案人系傳全集)中之町東三丁妙法寺に其墓碑がある。

第二十四圖版 北向道陳