表-7 諸農場の宗派割合 |
宗派 | 諸町村 21農場 | 第三農場 | 第四農場 | 計 | 割合 |
浄土真宗 | 258戸 | 51戸 | 43戸 | 352戸 | 72.0% |
曹洞宗 | 8 | 3 | 5 | 16 | 3.3 |
浄土宗 | 18 | 0 | 18 | 36 | 7.4 |
日蓮宗 | 13 | 0 | 0 | 13 | 2.7 |
真言宗 | 68 | 2 | 2 | 72 | 14.7 |
計 | 365 | 56 | 68 | 489 |
諸町村21農場は『北海道農場調査』(大2),第三農場及び第四農場は『東北帝国大学農科大学農場成績報告』(明42)より作成。 |
これによると、浄土真宗が七二パーセントと圧倒的な高率をしめている。各農場の小作戸には富山県出身者が多いために上記の結果となっているのであるが、これはある程度農村部の宗派割合の傾向を示しているとみることができる。それと同時に、農村部には浄土真宗の寺院・説教所が多いために、また近隣の入植者の多くが同宗であるために歩調を合わせて、元来郷里では必ずしも同宗の檀家ではなくても、便宜的に宗旨換えする動向も推察されてくるのである。
一方では集団で入植した場合、郷里の宗旨を守り通すケースもみられた。表5には徳島県も記載してあるが、同県人が集中的に移住したところは篠路村の興産社農場である。同農場を引き継いだ谷農場には一〇一戸の小作がいたが、徳島県に郷里を持つ者は六七戸おり、真言宗は六四戸であった。同県出身者はこぞって郷里の宗旨を守り通したといえるだろう。ただし、篠路村には真言宗の寺院も説教所も所在しておらず、聞法・葬儀などは区内の寺院に依存していたようである。