表-19 各市町村の農畜産物価額の上位5品目(昭和8年) |
市町村 | 第1位 | 第2位 | 第3位 | 第4位 | 第5位 |
札幌村 | 野菜 | 燕麦 | 畜産 | 牧草 | 米 |
篠路村 | 米 | 燕麦 | 畜産 | 牧草 | 野菜 |
琴似村 | 野菜 | 米 | 畜産 | 燕麦 | 牧草 |
手稲村 | 米 | 畜産 | 燕麦 | 牧草 | 野菜 |
藻岩村 | 野菜 | 畜産 | 米 | 牧草 | 青刈玉蜀黍 |
豊平町 | 米 | 畜産 | 野菜 | 燕麦 | 牧草 |
白石村 | 米 | 畜産 | 燕麦 | 馬鈴薯 | 野菜 |
札幌市 | 畜産 | 野菜 | 青刈玉蜀黍 | 馬鈴薯 | 牧草 |
『北海道庁統計書』,『北海道統計』,『石狩支庁管内要覧』,各町村『町村勢要覧』における各年度版により作成。 |
まず『札幌村史』(昭2)によれば、札幌村においては土壌の性質などの条件に応じて、元村・上下苗穂の一部(玉葱、蔬菜類)、丘珠・烈々布・雁来の一部(大小豆、菜豆類)、中通・烈々布西部・丘珠川向・雁来の一部(燕麦)、丘珠沼ノ端・雁来の一部・下苗穂三角(牧草)、元村の一部・中通の一部・烈々布の一部(既成水田)といった具合に、営農形態が五地区に分化していたという。
次に『篠路村史』(昭30)によれば、十軒、烈々布方面では玉葱、茨戸、五ノ戸、山口方面で牛蒡(ごぼう)、長いもなどの高級蔬菜の栽培が競って行われ、玉葱は輸出向の「花形作物」であり、牛蒡、長いもは「他の追随を許さぬ逸品として賞賛された」という。
『琴似町史』(昭31)によれば、琴似本村と盤渓(蔬菜、採種圃)、発寒(蔬菜、果樹、酪農)、新琴似(燕麦、麦類、大根、畜産)、篠路(水田)というように、地域の条件を生かした「適地経営」が(戦時体制下を除き)行われていた。
さらに『白石村誌』(昭15)には以下の記述がある。
水田耕作は概ね泥炭地、畑作は多く火山灰地に属し、是等は全耕地面積の約三分の二を占むるに関らず、能く品種の改良、肥培の改善に努力したる結果、産物中糯米・蔬菜等は其品質優良、漸次特産品として声価を高めたり。斯て札幌に近接したる地方は主として蔬菜類、他地方は専ら米穀類を耕作するの趨勢を示したり。養畜は乳牛の増殖に伴ひ、血統を改良して優良種牛を出し、其産乳は多く札幌に搬出し、乳製品は道外に移出して京阪方面に賞用せられ、更に海外に輸出して声価を高むるに至りたり。