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そのほかの地域地区

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 札幌市では上記以外の指導・規制地域として、防火地域および準防火地域、高度地区、高度利用地区、特定街区、流通業務地区駐車場整備地区風致地区緑地保全地区空地地区再開発地区計画住宅地高度利用地区計画がある。
 防火地域および準防火地域は、昭和二十三年(一九四八)に臨時防火建築規則により都心部三・二三一平方キロメートルを準防火区域としたことに始まる。二十五年には、建築基準法の施行により、そのまま準防火地域となり、二十七年にそのうちの西四丁目十字街(現在の中央区南一条西四丁目付近)を中心とする路線的な防火地域を設けた。これ以降用途地域の変更により追加された商業地域、それに隣接する住居地域と準工業地域の一部で密集市街地となっている地域を準防火地域とした。四十年(一九六五)では、防火地域一〇七・六ヘクタール、準防火地域四八八・七ヘクタールであった(都市計画 昭40)。四十八年六月新用途地域の指定と同時に商業地域のうち都心商業地、厚別副都心、地下鉄北二四条駅、琴似駅、白石駅周辺などの地域中心商業地二一五ヘクタールを防火地域に指定した。準防火地域は商業地周辺地区で防火地域に指定されていない地域と近隣商業地域全域一三七六ヘクタールを指定した(都市計画 昭50)。その後、防火地域には、麻生駅、平岸駅の周辺が加わり(都市計画 昭55、平2)、平成十五年(二〇〇三)では、商業地域のうち容積率六〇〇パーセント以上の地区または交通結節点に位置する地区など約三八四ヘクタール、準防火地域は防火地域以外の商業地域および近隣商業地域と容積率三〇〇パーセントの用途地域など約三三三〇ヘクタールを指定している(概要 平15)。
 高度地区は、市街地の環境を維持し、土地利用の増進を図るために、建築物の最高限度または最低限度を定めるために指定した。札幌市では、指定当初は真駒内団地もみじ台団地の低層住宅地に最高限度一〇メートルの高度地区を指定した。昭和四十八年(一九七三)六月に新用途地域を指定するのと同時に、第一種住居専用地域とその南接する約三〇メートルの地域に第二種高度地区約八二四八ヘクタール、第二種住居専用地域と住居地域とその南接する約三〇メートルの地域(第一種住居専用地域以外)に第五種高度地区約九六八二ヘクタールを指定した(概要 昭49)。『札幌市政概要』や『札幌の都市計画』では、五十五年から第五種の報告がなくなり、平成十四年(二〇〇三)度末には第二種高度地区約八九五〇ヘクタールが指定されている(概要 平15)。
 高度利用地区は、建築物の延べ床面積と敷地の面積に対する割合(容積率)の最高限度と最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限を定めることにより、宅地の細分化を抑制し、合理的で高度な土地利用を図っていくために、一定の規模以上の建築が行われるように、指定される(都市計画 昭50、概要 昭52)。札幌市では、昭和五十一年(一九七六)五月十四日に、北海道庁西地区(中央区北三、四西七の一部)の市街地再開発事業の決定に関して高度利用地区の決定を行った(事務 昭51、概要 昭52)。その後平成十四年度末までに、一条橋周辺地区など二八地区六一・七ヘクタールが高度利用地区に指定されている(概要 平15)。
 特定街区は、良好な環境と健全な形態を有する建築物を建設し、合わせて有効な空地を確保することにより都市機能に適応した適正な街区を形成し、そのことによって市街地の整備を図るために指定した。札幌市庁舎の新築が決定したときに申請して、昭和四十四年四月北一条西二丁目の約一・一六ヘクタールが指定された(事務 昭43、都市計画 資料)。翌四十五年三月には住友生命保険相互会社が事務所、ホテルを主体としたビルを建築申請したときに、建築基準法の高さ制限を超えるものであったため、北五条西五丁目の約〇・五ヘクタールを特定街区に指定した(事務 昭44、都市計画 資料)。六十年九月には南一〇条西六丁目の約〇・五ヘクタールが指定された(概要 昭61)。
 流通業務地区は、流通機能の向上および道路交通の円滑化、特に都心部地区における自動車交通の渋滞緩和を図る目的で、都心部に立地している卸売業・貨物運送業・倉庫業等の流通業務施設を郊外部に集約させるために指定した(概要 昭49)。この地区には、トラックターミナル、鉄道の貨物駅、卸売市場など流通業務市街地の整備に関する法律に定められている用途以外の建物が制限される。札幌市では、四十二年七月に大谷地地域に流通業務地区約二三〇ヘクタールを指定した。この地域には、札幌市が約一五六ヘクタールの大谷地流通団地を造成し、分譲した(概要 昭49、都市計画 資料)。
 駐車場整備地区は、自動車交通量増加の著しい都心部商業地域において、円滑な道路交通を画するために積極的に駐車場を設置する地区である。札幌市では、毎年の交通量調査や路上駐車の調査の後、四十年(一九六五)八月都心部二〇〇ヘクタールを指定し、大規模建築物に対する駐車施設の付置、路上駐車場の設置、路外駐車場の建設を対策の基本方針とした。そして、大規模建築物の駐車場の付置基準を強化整備するとともに、四十一年二月には路上駐車場設置計画を立てて北四条路上駐車場、大通路上駐車場を設置した。さらに八月には北一条西一丁目に駐車場ビル計画をまとめ、四十二年十二月完成した(都市計画 昭42)。四十六年十一月には、大通地下駐車場が完成し、営業を開始した(都市計画 資料)。平成十五年度末には、都心部に約三八三ヘクタールを指定している(概要 平15)。
 風致地区は、自然の環境を維持し、都市の自然美が破壊されるのを防ぐために指定される地区である(都市計画 平8)。札幌市では、昭和十四年(一九三九)に大通など一三地区が指定された。しかし市街地の拡大、宅地造成などにより緑が急激に破壊されたことから、四十一年に総合的に再検討して、大通、豊平川、天神山、藻岩山、北海道神宮、発寒川、新川、創成川上、創成川下、東月寒向ヶ丘、羊ヶ丘、ポプラ通の一二地区に変更した(都市計画 昭42)。この地区の自然景観を維持するため、札幌市風致地区建築等規制条例を四十六年に制定し、建築物の高さ、壁面線の位置などを規制している(都市計画 平2)。現在は平成十三年制定の「札幌市緑の保全と創出に関する条例」により規制している(札幌市例規集)。
 緑地保全地区は、街のなかの良好な自然環境を形成している緑を保全する目的で、都市緑地保全法(昭和四十八年制定)に基づき、主に市街化区域内の緑地を指定する(都市計画 平8)。昭和四十九年(一九七四)三月北海道が東月寒緑地保全地区(東月寒緑地)を指定したのにはじまり、平成十六年(二〇〇四)四月現在では二三カ所四七・六ヘクタールが指定されている(札幌市環境局緑化推進部 札幌市の公園と緑地 平16)。
 空地地区は、建ぺい率と容積率の制限を強化することにより、良好な住居環境の保持と延焼防止を図るために指定され、目的により制限の差があり、第一~九種ある。札幌市では、昭和三十五年六月に道営真駒内住宅団地内の住居地域に、第二種六四・一ヘクタール、第六種九四・九ヘクタール、第七種二・六ヘクタールを指定した(都市計画 昭42)。その後、四十三年六月厚別地区の住宅団地(下野幌第三団地)に空地地区指定が告示された(事務 昭43)。四十五年に変更(事務 昭45)後、四十七年に、真駒内団地と下野幌第三団地に、第七種一六七・二ヘクタール、第八種二〇九・三ヘクタールが指定されていた。しかし四十八年に変更された用途地域制では、空地地区制は廃止された(概要 昭48)。
 再開発地区計画は、都市計画法都市再開発法の改正により六十三年に出来た制度である。工場跡地などのまとまった土地に、道路、公園、広場などの公共施設を整備することにより建築物の制限を緩和して土地の高度利用と都市の機能の更新を図る制度である。札幌市では、平成二年にビール工場跡地地区を指定した(都市計画 平8)。平成十五年一月の建築基準法の改正で、住宅地高度利用地区計画とともに地区計画に統合され、再開発促進区を定める地区計画となった(札幌市都市局建築指導部 平成14年度版 札幌市の建築指導行政)。
 住宅地高度利用地区計画は、郊外の住宅地にある農地や空地などのまとまった土地に、道路、公園、広場などの公共施設を整備することにより建築物への制限を緩和して良好な中高層住宅の供給促進を図る制度である。都市計画法の改正により二年にできた制度である。札幌市では、五年に平岡中央地区を指定した(都市計画 平8)。再開発促進区を定める地区計画となった。