[解説]

木曾山林学校々友會報 第一號
木曽山林資料館 山口登

 『木曾林学校友会報』1号は、開校2年目に校友会から刊行された。この中で初代校長熊は6項目の教育方針を示し、日本で初めて実業学校で森林・林業教育を開始した。例えばその中の「林学は観察の学問である」との認識は、具体的に実習及び修学旅行を重視する方針となり、長く同校の伝統となった。
 また校長を会長とした校友会が組織され、生徒・職員のみならず林業界や地元関係者も会員となり、さらに卒業生が出ると彼らも会員となった。この会の『会報』は会員相互の親睦を深めることはもちろん、教科書すら満足に揃わなかった時代、教科書や副教材の役割を果たし、また学校の記録ともなった。後、この校友会と『会報』は同校教育推進の大きな原動の一つとなっていった。