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町村財政

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 表19は大正十年度から昭和十五年度までの各町村の歳出額(予算・決算)の推移を示したものである。まず確認しておきたいことは、一級町村制の施行と財政の確認である。一級町村となると町村の起債が認められ財政の自主性が得られる一方で、村長、助役の俸給を自弁するなど財政負担は大きくなっていた。この時期に一級町村となったのは、琴似村(大12・4・1)、札幌村(大13・4・1)、藻岩村(昭6・4・1)、白石村(昭7・6・1)からであったが、確かに二、三年後あたりから歳出が増大していく傾向がみられる。
表-19 各町村の歳出額(経常・臨時部の予算・決算)
 札幌篠路琴似手稲藻岩豊平白石
大1056,673円20,31835,20521,98547,19761,60034,643
 1270,150 20,24551,98424,493248,06378,12035,321
 1359,531 19,43448,71224,736129,43667,72239,969
 1460,617 21,51355,35927,58335,32097,73749,866
 1572,428 24,25957,07531,39542,958135,77944,454
昭267,734 63,25934,33420,383
 379,240 31,01162,72239,50397,944107,14373,045
 478,425 29,021123,391105,14578,682119,72248,488
 580,233 28,48458,308
 671,404 23,39364,62538,00562,335102,97946,364
 769,954 63,51157,90946,38777,414118,19846,540
 857,61973,10554,690136,290114,452
 947,191 59,66670,55296,162104,769145,28763,626
 1052,954 61,26768,59554,690140,161128,13070,008
 1155,876 69,34772,683105,821142,33277,453
 1261,354 80,303139,120151,59382,678
 1357,001 86,190131,97998,230
 1455,876 38,40789,09063,077122,402162,26878,066
 1561,616 41,583104,43081,249145,183114,18586,100
1.ゴチック数字は予算。
2.石狩支庁管内要覧』(大10~15年,昭3,4,6,9年),『北海道統計』第81号(昭14),第96号(昭15),『(豊平町)開町七十周年』,『(白石村)事務引継書』,各町村の町村史,村勢要覧などより作成。

 平均して歳出の多いところは豊平町が群を抜き、すでに大正十五年度から一〇万円台を超えていた。次に円山町が昭和八年度から超えるようになる。歳出増大の原因は、一級町村の実施のほかにも、大正末期から行われる自作農創設資金の設定、昭和五年から十年の凶作、水害、不況対策として実施される凶作救済土木工事の施工も要因となっている。さらには、札幌市の発展にともなって諸町村にも宅地化の波が押し寄せ、人口も増加してきていた。これに対応して道路、下水道、防火用水、消防施設などの設備、さらには小学校などの増改築も急務となっており、これらの工事費も年毎に増大する傾向にあった。たとえば手稲村は昭和九年度に上手稲小学校の改築、軽川小学校の増築に約三万八四〇〇円の工費を要し、そのうち三万二〇〇〇円は起債でまかなっていた(北タイ 昭10・1・27)。