第二章七節で札幌市の住民組織や町内会について触れた。だが、民間の任意団体組織としての色彩の濃かったそれらもこの時期、公区・聨合公区の設置(昭15・4・1)を境に「再編」が行われる。すでに婦人会、青年団などの各種団体の分会・分団が網の目のようにはりめぐらされており、それらの団体とともに住民組織が準戦時、戦時体制下において、どのように「再編」され、強化されていったのか歩みをたどってみたい。
表44でみたとおり、「戦時生活」が長期におよぶなか、人びとを戦時体制につなぎとめ、参加させることを目的として既存の社会組織の再編成が行われている。社会組織の再編成には次の三つのタイプがみられる。第一は旧来の組織の文字どおりの「再編」であり、解消、そして発展を目ざしたものである。表に掲げた例でみると、婦人国防義会→国防婦人会、防護団→警防団、町内会→公区がこれに相当するだろう。第二は類似の組織団体を一つにまとめる「統合」タイプである。表に掲げた例でみると、大日本聨合青年団・同女子青年団等→大日本青少年団、愛国婦人会(愛婦 明34創立)、大日本聨合婦人会(聨婦 昭5創立)、大日本国防婦人会(国婦 昭7創立)の三団体→大日本婦人会への「統合」に代表されるであろう。また、第三は戦時体制下に即して新しくつくりあげる「創設」タイプである。表に掲げた例でみると、大日本翼賛壮年団、札幌市義勇隊の創設に代表されるであろう。
以上の三タイプいずれとも自然発生的であったり、上からの指揮系統によるものであったり、その組織自体実に多様である。それらを整備・統合することによって、より地域住民を強力に組織・統率していこうとしたのもこの時期のまさに戦時体制遂行者の意図するものであった。
ここでは、以上三タイプから、第一の「再編」代表として公区を、第二の「統合」代表として大日本青少年団あるいは大日本婦人会を、第三の「創設」代表として札幌市翼賛壮年団を事例にあげて以下述べてみたい。