[総合解説]

 木曾林学校は、実業学校令に基づき、我が国最初の森林・林業を専門とする実業学校として、明治34年(1901)4月に、現在の木曽町に創設された学校である。戦後は木曽山林高等学校となったが、少子化にともなう生徒減少のため、平成21年(2009)3月その歴史の幕を閉じ、その教育は木曽青峰高等学校に引き継がれた。108年に及ぶ同校の教育活動は、文字通り我が国の中等教育としての森林・林業教育をリードする歴史そのものであった。
 現在、同じように少子化や産業構造の変化を受けて、全国的に古い歴史を持つ林業・農業関係の高校の統廃合が進む中で、貴重な資料が散逸しているのが現状である。しかし、同校では旧職員・同窓生らが中心となって奔走し、同校に残された林業および、その教育関係資料(標本類3,000点・図書類2,000点・その他文書)を整理・保存・研究する「木曾山林資料館」を平成26年5月にリニューアルオープンさせた。以来、青峰高校生のための教材として活用されるだけでなく、限定的ではあるが広く一般にも公開している。
 さらに同年3月には、日本森林学会から同校に残されているこれら資料と、現在も実習で使われている演習林(約58ヘクタール)が林業遺産として認定された。このようにこれらは教育および歴史資料として、今もその重要性が全国的に再認識されている。
 
 今回、信州地域史料アーカイブには、上述の木曾山林資料館に保存されている膨大な資料の中から、明治・大正期に刊行された雑誌類4点を取り上げた。
 
付 記
(1)翻刻文については、原文が活字文であるので、ここでの翻刻文は「読みやすく」を旨に、句読点を付し、明らかな誤字・脱字などは改めた。また段組もその趣旨で変更した。その他は、本アーカイブの基準に従った。
(2)参考資料
・『校友会報』1号~『岐蘇林友』164号、及びそれらの『総目次』(木曾山林資料館)
木曽山林高校百周年記念誌『山霊生英傑』(木曽山林高等学校)
・『沖縄近代林業の父園原咲也と木曽林学校』(手塚好幸編著)
 
木曾山林資料館】 長野県木曽町新開4236(木曽青峰高校新開キャンパス内)
          電話・Fax:0264-22-2007(毎週木曜日開館9:30~16:30)
          E.Mail:sanrin4236@mopera.net
          ホームページURL:http://kisosanrin.org/