国上寺(こくじょうじ)(現南津軽郡碇ヶ関村)は古懸不動尊(こがけふどうそん)を祀る。円智が開基となって阿闍羅(あじゃら)山に創建した(「津軽一統志」)。のち信義が二〇〇石を寄進し、塔頭五院を配し各一五石を与えた。不動尊に出汗(しゅっかん)があれば領内異変の前兆として、藩命で八幡宮(現弘前八幡宮)神主が神子を引き連れて出かけ、神楽を奉納したことが、国日記にみられる。明治四年(一八七一)、国上寺はもともと神仏混淆でないため存続することになったが、修験・寺禄廃止のため、常成院・大浄院・法光坊・浄覚坊・泉正院の修験は帰農し、廃院となった。なお不動尊は明治二十六年(一八九三)に焼失し、その後、鋳造された。