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前・中期更新世

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 人類の起源は三〇〇万年前とか、四〇〇万年前とかいわれているが、「ひと」としての活動が具体的に現れるのは、地質時代の第四紀になってからである。第四紀は約一八〇万年前から現在までの期間で、更新世(約一八〇万年前~一万年前)と完新世(一万年前~現在)との二つの時期に分けられているが、この時代の自然の歴史は、人間の活動と深くかかわりあっているので、人間の歴史を考えるうえでも非常に重要なのである。
 札幌の東部に広がる野幌丘陵は、更新世の地層がよく発達しているので、この時期の地史を調べるのには絶好の場所である。本章では、野幌丘陵に分布する地層や化石などから、更新世、とくに、前期から中期まで(約一八〇万年前~一三万年前)の地史を眺めることにしよう。ところで、地形・地質的にみて、野幌丘陵とは、どの範囲なのかを定義づけたものはない。そこで、ここでは、地質や地形の特性を考慮して、一応、南を広島町の音江別川、西を野津幌川で境される、標高一二〇メートルから五〇メートルくらいまでの丘陵地を野幌丘陵と呼ぶことにする。
 野幌丘陵の更新世の地層は、下位(古いもの)から順に、裏の沢層下野幌層音江別川層竹山礫層もみじ台層小野幌層支笏火山噴出物・元野幌層・江別砂層厚別砂礫層(広島砂礫層)などに区分されている(表1)。これらのうち、本章で取り上げる前期―中期更新世の地層は裏の沢層から竹山礫層までであり、野幌丘陵の土台を構成している地層は裏の沢層下野幌層である。
表-1 野幌丘陵の地質層序表
時代年代
万年前
層序特性
完新世1-樽前降下火山灰層樽前a~b火山灰の薄層
更新世後期江別砂層砂丘砂
 元野幌粘土層粘土(広島砂礫層,厚別砂礫は同時期)軽石流
支笏火山噴出物層軽石流
小野幌層主として粘土・シルト,泥炭層をはさむ
7-  
 もみじ台層砂礫,貝化石を含む
13-  
中期
 竹山礫層風化の進んだ礫層
  
音江別川層砂・シルト・砂礫層が主なもの。貝化石、哺乳動物化石を含む
  
70-下野幌層細砂・シルト層,泥炭層をはさむ,基底礫層に貝化石・哺乳動物化石を含む
前期
   
180裏ノ沢層半固結のシルト層,砂 


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図-1 野幌丘陵の地質図