一 本巻は『通史一』に引き続き、明治二年開拓使設置から明治三十二年北海道区制の施行に至るころまでの期間を扱った。
一 この期間の札幌は、開拓使・北海道庁が設置されて北海道開拓行政の中心的都市としての位置を占めると共に、市中・村々の基礎が成立した時期である。と同時に、明治初年に顕著に見られるように、史料が極めて乏しく、かつこれまでは後年の聴取等によって記述されることの多い時期でもあった。今回の編集にあたっては、従来の不備を正すべくつとめたが、期間等の都合もあって、必ずしも満足のできる結果とはならなかった。これを基盤として今後の研究の発展を願うものである。
一 本巻の編集にあたっては、前編集長故高倉新一郎氏の指導により編目構成その他の作業を進めたが、平成二年六月高倉編集長の死去により、その後は本巻担当編集員原田一典(旭川医科大学教授)を中心として編集作業をすすめ、完成に至ったものである。
一 本巻は各編集員が分担執筆したが、産業のうち農業は大庭幸生氏(北海道立文書館首席文書専門員)の、宗教のうちキリスト教は鈴江英一氏(同館私文書係長)の執筆によった。御多忙中の御執筆厚く感謝申し上げる。
一 本巻の編集にあたり、資料協力をいただいた個人及び機関について、その名を左に掲げ、謝意を表する。
岩村和俊(東京都)、太田広延(札幌市)、十文字家(東京都)、杉崎静代(群馬県黒保根村)、たかせとよじ(群馬県富岡市)、高畑イク(滝川市)、中ノ目一郎(札幌市)宇佐神社(香川県大川郡長尾町)、国立公文書館、国立国会図書館、佐賀県立図書館、市立函館図書館、白石市教育委員会(宮城県)、滝川市教育委員会、伊達市、東京都公文書館、富岡市(群馬県)、東本願寺北海道別院、北海学園大学付属図書館、北海道開拓記念館、北海道神宮、北海道大学附属図書館、同博物館、北海道立図書館、北海道立文書館、山口県立文書館、余市町教育委員会、脇町(徳島県)、亘理町(宮城県)〔五十音順、敬称略〕
一 巻末に図版・写真・表組一覧を掲載して利用の便をはかった。
一 文章の体裁等は、左記の諸項によった。
(一)漢字は、本文・史料等の引用とも、常用漢字のあるものは原則としてこれを使用した。
(二)年号は日本年号を用い、必要に応じて相当する西暦を( )に入れて示した。
(三)史料の引用文は、その部分を「 」で囲み、またはやや小さな活字を用いて字下げを行った。引用文の処理はおおむね『史料編』に準じたが、変体仮名は普通仮名に改め、また句読点を付すなど、さらに読み易くすることに留意した。
(四)前項の引用文およびその他必要な場合には、出典文献・史料名を『 』または( )に入れて示した。
但し史料のうち『新札幌市史』は『市史』、『開拓使事業報告附録布令類聚』は『布令類聚』とした。
(五)各章の末尾に、その章の記述に関する主要参考文献・史料名を記して参考とした。
但し『新北海道史』などの北海道全般に関する歴史書、および『札幌区史』、『札幌市史』(四冊)、『琴似町史』など現在の札幌市域に含まれた諸自治体の歴史書などは、原則としてはぶいた。
(六)必要な場合には、使用史料等の所蔵を記したが、左の機関については便宜上略称を用いた。また北海道立文書館所蔵の開拓使及び札幌県の公文書については、請求番号も付した。