その後大正十五年六月三日に、札幌市赤十字支部楼上で第二回委員会が開催された。予定では三、四日の二日間であったが、議事が早く進み一日で終了した(北タイ 大15・6・4)。議案は、「大正十五年三月十八日内務省十四、北都第二号函館都市計画区域決定ノ件」「大正十五年四月五日内務省十四、北都第三号小樽都市計画区域決定ノ件」「常務委員会委任事項ニ関スル件」の三件である。
一、二件目は両都市の区域決定について、都市計画法第二条の規定により内務大臣から地方委員会の意見を諮うものである。議決は、原案通り可決したが、小樽の都市計画区域について、将来の適当な時期に塩谷村と朝里村の全部を区域に含み込むことを希望するという付帯決議を行った。また都市計画委員会官制第一五条により、常務委員会の委員を指名した。北海道庁内務部長百済文輔、同土木部長加勢清雄、同技師名井九介、第七師団参謀長斎藤瀏、北海道帝国大学教授高岡熊雄、札幌鉄道局長斎藤真澂、北海道会議員前田政八、同林儀作、同村田不二三、札幌市会議員松田学、小樽市会議員河原直孝、函館市会議員恩賀徳之助が指名された(北タイ 大15・6・4、高岡松岡旧蔵パンフレット26 都市計画ニ関スル参考資料)。
次いで、十二月十五日に道立図書館楼上において、第三回委員会が定員三三人中二五人出席で開かれた。今までの会員・幹事の異動報告と、会長代理に道庁土木部長篠原栄太郎を指名し、議案は第四号として「内務省北都第五号、内務大臣諮問札幌都市計画区域決定ノ件」を審議した。諸橋計画課長の説明後、黒沢委員から真駒内を編入しない理由の質問が出された。奥沢技師がこれに答えて原案通り可決された(樽新 大15・12・16、都市計画ニ関スル参考資料)。
第三回までの北海道地方委員会の委員名簿及び異動は、表2の通りである。また第一回からこれまでに判明した、都市計画北海道委員会の開催状況と議案及びその出典は、表3の通りである。
表-3 都市計画委員会北海道地方委員会(昭和14年まで判明した分) |
回数 | 年月日 | 会場 | 議題 |
第1回 | 大13. 5.26 | 道会議事堂 | 都市計画委員会議事規則など |
第2回 | 大15. 6. 3 | 札幌市赤十字支部楼上 | 函館都市計画区域決定ノ件/小樽都市計画区域決定ノ件(付帯決議有) 常務委員会委任事項ニ関スル件 委員決定 |
第3回 | 大15.12.15 | 道立図書館楼上 | 札幌都市計画区域決定ノ件 |
第4回 | 昭 2 ~ 3年 | (旭川都市計画区域決定ノ件) | |
第5回 | 昭4.5.9~10 | 日本赤十字社北海道支部 | 函館都市計画街路決定ノ件/函館都市計画地域指定ノ件 |
第7回 | 昭 6.11.27 | 日本赤十字社北海道支部 | 小樽都市計画地域指定ノ件 |
第8回 | 昭 8. 7. 3 | 日本赤十字社北海道支部 | 札幌都市計画地域指定ノ件 |
第9回 | 昭 9. 4.10 | 日本赤十字社北海道支部 | 函館都市計画地域変更ノ件/函館都市計画街路追加変更ノ件/函館都市計画公園決定ノ件 函館都市計画土地区画整理決定ノ件 |
第10回 | 昭 9. 6. 8 | 北海道庁石狩支庁 | 函館都市計画街路追加変更ノ件/函館都市計画公園追加決定ノ件/函館都市計画地域変更ノ件 |
第11回 | 昭10. 3.14 | 日本赤十字社北海道支部 | 釧路都市計画区域決定ノ件/旭川都市計画地域指定ノ件/函館都市計画甲種防火地区指定ノ件 |
第12回 | 昭10. 9. 9 | 小樽都市計画街路決定ノ件/小樽都市計画街路事業及其ノ執行年度割決定ノ件 小樽都市計画事業道路新設拡築路面改良受益者負担ニ関スル件/(小樽都市計画財政計画書) | |
第13回 | 昭11. 3.23 | 日本赤十字社北海道支部 | 函館都市計画街路追加変更ノ件/函館都市計画街路事業及其ノ執行年度割決定ノ件 函館都市計画公園変更決定ノ件/函館都市計画公園事業及其ノ執行年度割決定ノ件 函館都市計画水道決定ノ件/函館都市計画水道事業及其ノ執行年度割決定ノ件 |
第14回 | 昭11. 9.16 | 日本赤十字社北海道支部 | 札幌都市計画街路決定ノ件/札幌都市計画街路事業及其ノ執行年度割決定ノ件 札幌都市計画事業道路新設拡築受益者負担ニ関スル件及札幌都市計画事業路面改良受益者負担ニ関スル件 |
第15回 | 昭12.10.29 | 日本赤十字社北海道支部 | 旭川都市計画街路決定ノ件/旭川都市計画路面改良事業及其ノ執行年度割決定ノ件 旭川都市計画事業路面改良受益者負担ニ関スル件/旭川都市計画地域変更ノ件 室蘭都市計画地域指定ノ件/小樽都市計画街路事業及其ノ執行年度割変更ノ件 |
不明 | 昭14. 5.17 | 日本赤十字社北海道支部 | 札幌都市計画風致地区指定ノ件 |
1.第4回については公文雑纂の昭和3年旭川の決定から推察。 2.第6回は不明。 3.以下の史料より作成。 『北海タイムス』(大13.5.27,大15.6.4),『小樽新聞』(大15.12.16) 〔高岡松岡旧蔵パンフレット〕(北大図蔵)26『都市計画ニ関スル参考資料』,23-1『第五回都市計画北海道地方委員会議事速記録』, 23-2『第七回都市計画北海道地方委員会議事速記録』,358『札幌都市計画地域指定参考資料』, 23-3『第九回都市計画北海道地方委員会議事速記録』,23-4『第十回都市計画北海道地方委員会議事速記録』, 23-5『第十一回都市計画北海道地方委員会議事速記録』,497-8『都市計画北海道地方委員会 委員及幹事異動報告』, 24-6『小樽都市計画事業道路新設拡築路面改良受益者負担ニ関スル件』,24-7『小樽都市計画財政計画書』, 496-4『小樽都市計画街路事業及其ノ執行年度割決定ノ件』,23-6『第十三回都市計画北海道地方委員会議事速記録』, 23-7『第十四回都市計画北海道地方委員会議事速記録』,24-2『旭川都市計画地域変更参考書』, 24-3『旭川都市計画街路工費概算調,旭川都市計画特別税額調』,24-4『旭川都市計画事業費明細表』, 24-5『室蘭都市計画地域指定参考資料』,24-6『小樽都市計画事業道路新設拡築路面改良受益者負担ニ関スル件』, 24-8『都市計画地方委員会招集ノ件』 |