三 地形分類

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図9は、岩木火山麓およびその周辺の地形分類を示したものである。表1に層序を示したが、地形分類にあたっては松山・岩木山団研(一九八〇)および塩原・岩木山団研(一九八〇)の見解を基本とし、野外調査での成果を加筆したものである。

図9 岩木火山および周辺の地形分類


表1 岩木火山周辺の層序表(松山・岩木山団研,1980に加筆)

 岩木火山は、輝石安山岩質溶岩と同質火砕岩の互層からなる円錐形の火山体である。安山岩質溶岩の分布範囲をみると、山腹の標高五〇〇メートル以高であって、特に一〇〇〇メートル付近からは溶岩流の末端にあたる急崖が多くみられる。また、放射谷の谷頭が一〇〇〇~一二〇〇メートル付近に集中しているのは、赤倉沢で確認したように、この付近に古岩木火山の馬蹄形(ばていけい)カルデラ壁があって、新岩木火山が形成された後に、その境界部からの水蒸気爆発によって発生した爆裂火口跡が存在するからと考えられる(塩原・岩木山団研、一九八〇)。その後、火山体における谷頭および谷壁の下刻作用が一層加速し、山麓部には土石流の発生により多量の崩落物が供給されて、火山麓扇状地として展開している。