展示室のうち、常設展示コーナーでは、明治期以降各分野で活躍した郷土出身の著名作家九人(陸羯南、佐藤紅緑、葛西善蔵、福士幸次郎、一戸謙三、高木恭造、平田小六、今官一、太宰治)を選び、その自筆原稿、書簡、初版本等関係資料を展示しているほか、弘前市に縁のある作家も紹介し、その写真や著作、原稿などを展示している。
石坂洋次郎記念室は、昭和六十一年に洋次郎が亡くなり、その後、作家の遺品が数多く遺族から寄贈され、それが元で県内初の文学館建設のきっかけともなったことから、この国民的作家を記念して、他の作家とは別して設けられたものである。生前洋次郎が愛用した机や椅子などを書斎を再現する形で展示するとともに、懐かしい映画のポスターも数多く飾られ、戦前、戦後を通じていかに多くの作品が映画化され、弘前市民のみならず、日本全国の国民から愛されたかを物語っている(なお、郷土の作家の詳細については、本書第八章第一節「文学活動」を参照)。
写真216 郷土文学館石坂洋次郎記念室