郷土文学館

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弘前市立郷土文学館は、市立図書館の一画にあり、郷土出身の作家の著作物や愛用品等を展示している。建築延べ床面積五九四・二六平平方メートル、一階は展示室、ロビー、事務室があり、二階には石坂洋次郎記念室とラウンジが設けられ、新図書館とともに平成二年七月に開館した。
展示室のうち、常設展示コーナーでは、明治期以降各分野で活躍した郷土出身の著名作家九人(陸羯南、佐藤紅緑葛西善蔵福士幸次郎、一戸謙三、高木恭造平田小六今官一太宰治)を選び、その自筆原稿、書簡、初版本等関係資料を展示しているほか、弘前市に縁のある作家も紹介し、その写真や著作、原稿などを展示している。
石坂洋次郎記念室は、昭和六十一年に洋次郎が亡くなり、その後、作家の遺品が数多く遺族から寄贈され、それが元で県内初の文学館建設のきっかけともなったことから、この国民的作家を記念して、他の作家とは別して設けられたものである。生前洋次郎が愛用した机や椅子などを書斎を再現する形で展示するとともに、懐かしい映画のポスターも数多く飾られ、戦前、戦後を通じていかに多くの作品が映画化され、弘前市民のみならず、日本全国の国民から愛されたかを物語っている(なお、郷土の作家の詳細については、本書第八章第一節「文学活動」を参照)。

写真216 郷土文学館石坂洋次郎記念室