8.長野県立甲種木曾山林学校学則

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       第 1 章  総   則
第 1 条 本校ハ農業学校規程甲種程度ニ基ヅキ、森林ニ関スル学理・実習ヲ授クルヲ以テ目的トス
第 2 条 修業年限ハ3ヶ年トス
第 3 条 生徒ノ定員ハ凡(およそ)150名トス
       第 2 章  学年及学期・授業日数及休業日
第 4 条 学年ハ4月1日ニ始マリ翌年3月31日ニ終ル
第 5 条 学年ヲ分チテ左ノ三学期卜ス
      第1学期 自 4月 1日
           至 7月 31日
      第2学期 自 8月 1日
           至 12月 31日
      第3学期 自 1月 1日
           至 3月 31日
 
  (改頁)      19
 
第 6 条 授業週数ハ毎学年40週以上トス、其細別左ノ如シ
      授業週数36週
      実習週数4週以上
                 計40週以上
第 7 条 休業日ヲ定ムルコト左ノ如シ
      但シ臨時必要アル時ハ知事ノ許可ヲ得テ臨時休業ヲナスコトアルベシ
      一、大祭日及祝日
      一、日曜日  但シ実習期ニ於ケル日曜日ハ休業セザルコトアルベシ
      一、開校紀念日  毎年 5月15日
      一、学年末休業日  1週間
      一、夏季休業    自 8月 1日
                至 8月31日
      一、冬季休業    自12月26日
                至 1月18日
      前項休業中、実習又ハ修学旅行ヲナサシムルコトアルベシ
       第 3 章  学科課程及毎週教授時数
 
  (改頁)
 
第 8 条 学科目及程度並ニ毎週教授時数ハ別表ノ如シ(原本ビューワ26コマを参照)
       第 4 章  実習修学旅行
第 9 条 実習ハ林業・農業及ビ測量科ニ之ヲ課スルモノトス
第 10 条 実習ヲ分ツテ定期実習及臨時実習ノ2種トス
第 11 条 実習ハ正課時間ヲ以テ之ニ充ツルコトアルベク、又正課時間以外ニ於テ之ヲ課スルコトアルベシ
第 12 条 第2学年及第3学年ニハ学術実地指導ノ為メ修学旅行ヲ課シ、林業ニ関スル各般ノ観察ヲナサシム
      但シ旅行ノ日数ハ第2学年ハ約2週間、第3学年ハ約3週間卜ス
第 13 条 本校ニ於テハ殊ニ修学旅行ニ重キヲ置クヲ以テ、生徒各自ノ都合ニヨリ之ヲ免(まぬか)ルヽコトヲ得ズ
       第 5 章  入学及退学
第 14 条 生徒入学ノ期ハ学年ノ始トシ、募集人員及ヒ必要ノ事項ハ其都度之ヲ公示ス
      但シ時宜ニ依リ臨時ニ入学ヲ許スコトアルベシ
 
  (改頁)      20
 
第 15 条 第1学年ノ入学志願者ハ左ノ資格ヲ具(そな)フルモノタルベシ
      1、年齢満14年以上ノ男子ニシテ其学、小学校令第18条第2項ノ修業年限2ヶ年ノ高等小学校卒業、又ハ中学校第2学年以上修業、若シクハ之卜同等以上ノ学ヲ有スルモノ
      2、身体強健ニシテ規定ノ課程ヲ修ムルニ耐フルモノ
      3、品行方正ニシテ林業ニ従事セントスルノ志望確実ナルモノ
      4、在学中所要ノ学資ヲ弁ジ得ルモノ
第 16 条 入学志願者ニシテ前条第1項前段及ビ中段ノ卒業若クハ修業証書ヲ有シ、且同条第2項以下ノ資格ヲ具フルモノハ無試験検定ヲ以テ入学ヲ許シ、其他ノモノニアツテハ入学試験ヲ行フ。若シ入学志願者募集人員ニ超過スルトキハ、応募者全体ニ就キテ学試験検定ヲ行フモノトス
     但シ入学志願者ノ学検定ハ修業年限2ヶ年ノ高等小学校卒業ノ程度ニ於テ、国語、算術地理、日本歴史、理科ニ就キ之ヲ行フ
第 17 条 入学志願者ハ左ノ書式ニヨリ入学願書・履歴書及身体検査書ヲ差出スベシ
 
  (改頁)
 
       入  学  願  書     (用紙美濃紙)
                        某   儀
御校へ入学志願ニ付御許可被成下度履歴書及身体検査書相添此段願上候也
                 何府県何郡市町村何番地居住
                  (寄留ナレバ寄留地ヲモ記入スベシ)
                  何府県華士族平民誰子弟等
     年 月 日     入学志願者    何   某 (印)
          同     上
          同     上
              右父母後見人    何   某 (印)
  長野県立甲種木曾林学校長氏名殿
 
       履  歴  書
 本  籍  何府県何郡市町村番地族籍誰子弟又ハ戸主
 
  (改頁)      21
 
       寄 留 地 何府県何郡市町村番地
                        何   某 (印)
                        生年月日
 学   業
 一、何年何月ヨリ何学校ニ於テ同科何学年ノ教科ヲ修業若クハ卒業(証書ノ写シヲ添フべシ)
 一、何年何月ヨリ何年何月迄何処何某ニ就キ何学修業等
 賞   罰
 一、何年何月何処ニ於テ何事ニ付賞、若クハ罰ヲ受ケシ等
 右之通リ相違無之候也
    年 月 日
 
       身  体  検  査  書
 本   籍                何府県族籍
 寄 留 地                  何    某
 
  (改頁)
 
                        生年月日
  一、体 格
  一、身 長
  一、胸 囲  常 時
         充 盈(じゅうえい:いっぱいになっている)
         空 虚
  一、体 量
  一、視 
  一、痘    天然痘若クハ種痘
                      何病院長或ハ開業医
                        何    某 (印)
 
第 18 条 入学許可ヲ得タルモノハ保証人2名(内1名ハ学校所在地ニ居住ノモノ)ヲ定メ、入学後2週間以内ニ左式ノ誓約書ヲ差出スべシ
 
  (改頁)      22
 
 (相当収入印紙貼用)
       誓  約  書        (用紙美濃紙)
 某(本人ノ名)儀入学御許可相成候ニ付テハ、御校則堅ク相守リ命令教訓ニ遵ヒ勤学可仕候依テ誓約如件
                   何府県何郡市町村何番地居住
                      族籍誰子弟又ハ戸主等
     年 月 日            本 人 氏 名  (印)
                      生年月日
 前文誰在学中ニ係ル一切ノ事件ハ拙者共ニ於テ引受申ベク候也
                   何府県何郡市町村番地居住
                      族 籍 戸 主
                 保証人  氏    名  (印)
                      生年月日
 
  (改頁)
 
                  同
                  同
                 保証人  氏    名  (印)
                      生年月日
   長野県立甲種木曾林学校長氏名殿
 
第 19 条 保証人ハ丁年(注8‐1)以上ノ男子ニシテ、相当ノ家計ヲ立テ在学ニ関スル一切ノ事件ヲ引キ受ケ得ベキモノタルべシ
第 20 条 保証人ハ本校ニ於テ必要ト認ムル時ハ、之ヲ換ヘシムルコトアルべシ
第 21 条 保証人ニ異動ヲ生ジタル時ハ、更ニ第18条ノ手続ヲナスべシ
第 22 条 本人及保証人、改氏名改印若クハ保証人ノ住所ニ異動ヲ生ズル等ノ事アリタル時ハ、其旨速ニ本校ニ届出べシ
第 23 条 学校長ハ左ノ各項ノ一ニ該当スルモノニハ退学ヲ命ズルモノトス
     1 性行不良ニシテ改善ノ見込ミナシト認メタル者
 
  (改頁)      23
 
     2 学劣等ニシテ成業ノ見込ナシト認メタル者
     3 引続キ1ヶ年以上欠席シタル者
     4 正当ノ事由ナクシテ引続キ1ヶ月以上欠席シタルモノ
     5 出席常ナラザル者
第 24 条 生徒病気又ハ己ヲ得ザル事故アリテ、半途ニ退学セントスル者ハ、其事由ヲ具シ父兄若クハ後見人及保証人連署ヲ以テ学校長ニ出願スべシ
      但シ病気ニテ退学出願ノ者ハ医師ノ診断書ヲ添フべシ
       第 6 章  生 徒 心 得
第 25 条 本校生徒ノ恪守(かくしゅ:つつしんで守る)実践スべキ要項左ノ如シ
     一 教育ニ関スル勅語ノ聖旨ヲ奉体シ常ニ実践躬行(きゅうこう:自分みずから行う)ヲ励ムべシ
     一 校規ヲ遵守シ師長ヲ尊敬シ其教誨訓諭ニ服従スべシ
     一 学業ニ精励シ労働ヲ厭ハズ常ニ質素ヲ旨トシ摂生ニ注意スべシ
     一 信義ヲ守リ廉恥(注8‐2)ヲ重ジ体節ヲ慎ミ誠実ヲ旨トシ温良ノ徳ヲ養ハンコトヲ努ムべシ
 
  (改頁)
 
第 26 条 生徒心得ニ関スル細則ハ学校長別ニ之ヲ定メ知事ニ申報スべシ
       第 7 章  成 蹟 考 査
第 27 条 生徒ノ成蹟考査ハ学科及ビ実習ニ就テ之ヲ行フ
第 28 条 各学期末ノ学科成蹟ハ日課臨時試験及学期試験ニ依リテ之ヲ定ム
第 29 条 実習ノ成蹟ハ其巧拙勤怠等ヲ考量シテ毎学年末ニ之ヲ定ム
     但シ実習ハ各種類ニヨリテ考量シタル成蹟ヲ平均シタルモノヲ以テ成蹟トス
第 30 条 学科及実習ノ評点ハ各100点ヲ以テ定点トス
第 31 条 各学年進級ノ成蹟ハ、各学期ニ於ケル各学科成蹟ノ平均点、及ビ実習ノ得点ニヨリテ之ヲ考査シ、実習科評点ハ60点以上、学科ハ50点以上、総平均点60点以上ヲ得タル者ヲ及第トス
第 32 条 卒業ノ成蹟ハ3個学年ノ進級成蹟ノ総平均点ヲ、更ニ平均シタル者ヲ以テ之ヲ定ム
第 33 条 成蹟考査ニ関スル内規ハ学校長別ニ之ヲ定ム
第 34 条 第1、第2学年ノ課程ヲ修了シタルモノ、並ニ本校課程ヲ卒業シタルモノニハ、左式ノ証書ヲ付与ス
 
  (改頁)      24
 
   (第1、第2学年修了者ニ与フル者)
       修  業  証  書
                      族   籍
                        氏    名
                        生年月日
  右ハ本校第何学年ノ課程ヲ修了シタルコトヲ証ス
  (校 印)   年  月  日
              長野県立甲種木曾林学
(割 印) 番号
   (卒業生ニ与フルモノ)
 
  (改頁)
 
       卒  業  証  書
  (校 印)               族   籍
                        氏    名
                        生年月日
右ハ本校規定ノ課程ヲ履修シ其業ヲ了ヘタリ依テ茲ニ之ヲ証ス
  年 月 日
              長野県立甲種木曾林学校長位勲氏名(印)
(割 印) 番号
 
  (改頁)      25
 
       第 8 章  授 業 料
第 35 条 授業料ハ1ヶ月金80銭卜ス
     但シ授業料ノ徴収期ハ毎月20日トシ休日ニ当ル時ハ繰上トス
第 36 条 授業料ハ出席ノ有無ニ拘(かかわ)ラズ之ヲ徴収ス
     但シ休業全月ニ及ブ場合及ビ正当ノ事由アリテ予(あらかじ)メ届出テ欠席全月ニ亘ル時ハ、其月分ノ授業料ヲ徴収セザルモノトス
第 37 条 戦地ニ於テ勤務ニ起因シテ死亡シタルモノ、傷痍ヲ受ケ若シクハ疾病ニ罹(かか)リタルモノ、又ハ戦事時変ニ際シ召集セラレタルモノ、若シクハ徴兵現役年限ヲ延期セラレタル者ノ子弟ニシテ、学校長ニ於テ授業料減免ノ必要卜認メタルモノニ対シテハ、期間ヲ限リ之ヲ減免スルコトヲ得
     前項授業料ノ減免ヲ為サントスルトキハ、其事由ヲ具シ知事ノ認可ヲ受クべシ
       第 9 章  生 徒 賞 罰
第 38 条 品行方正・学優等ナル者ニハ賞状若クハ賞品ヲ付与スル事アルベシ
第 39 条 本校ノ校規又ハ命令ニ違背シ 、其他学生タルノ本分ヲ誤ル言行アリタル時ハ、其軽重
 
  (改頁)
 
ニヨリテ之ヲ処罰ス
第 40 条 罰ハ左ノ3種トス
     1 譴 責   2 停 学   3 放 校
     譴責(けんせき)ハ訓諭ヲ加へ将来ヲ戒メ、停学ハ在学ヲ停止シ学校若クハ父兄又ハ保証人ノ許ニ於テ謹慎セシメ、放校ハ退学ヲ命ズルモノトス
     停学に処シタルトキハ知事ニ報告シ、放校ニ処セントスルトキハ知事ノ認可ヲ受クベシ
       第 10 章  寄 宿 舎
第 41 条 本校生徒ニシテ住所ヨリ通学シ能ハザルモノハ寄宿舎ニ入ラシムルモノトス
     但シ都合ニヨリ舎外ニ宿泊セントスルモノハ、父兄若クハ後見人及保証人並ニ家主連署ノ上其旨願ヒ出テ学校長ノ許可ヲ受クべシ
第 42 条 寄宿舎生徒ハ寄宿料トシテ1ヶ月金30銭ヲ毎月20日(休日に当ルトキハ繰上)ニ納ムベシ
第 43 条 寄宿舎ニ関スル細則ハ学校長別ニ之ヲ定ム
 
  (改頁)      26
 
       第 11 章  職 員 職 務
第 44 条 学校長ハ校務ヲ掌理シ所属職員ヲ統督ス
第 45 条 教諭及ビ助教諭ハ生徒ノ教育ヲ掌(つかさど)ル
第 46 条 舎監ハ学校長ノ指揮ヲ受ケ寄宿舎ニ関スル事ヲ掌ル
第 47 条 書記ハ学校長ノ指揮ヲ受ケ庶務会計ニ従事ス
第 48 条 職員ハ学校長ヲ除クノ外宿直ヲナスべシ
       第 12 章    付   則
第 49条 本則ニ定ムル外必要ナル事項ハ学校長之ヲ定ム
 
  (改頁)
 
 長野県立甲種木曾林学校学科目及程度並毎週授業時間表
(注 「長野県立甲種木曾林学校学科目及程度並毎週授業時間表」の表は原本ビューワ26コマを参照)
 
  (改頁)      27