天明から寛政末年頃まで、文献により六箇場所の知行主の変遷をみることができる。
蝦夷商賈聞書 北藩紀略 松前随商録 松前国中記
(元文四年 一七三九) (天明四年 一七八四) (寛政末年 (年代不詳)
一七九〇~一八〇〇)
小安 高橋宗四郎 高橋宗二(四)郎 蛎崎左士
戸井 佐藤加茂左衛門 佐藤権左(衛)門 佐藤権左衛門 佐藤彦太郎
尻岸内 木村与右衛門 木村 又八 木村 亦八 木村 又八
コブイ 蛎崎内蔵丞
尾札部 新井田兵内 新井田金右衛門 新井田金右衛門 新井田孫三郎
ウスジリ 領主
茅部 北見与五左衛門 北見常五郎 北見常五郎 サワラ 北見常五郎
ヲトシベ 新井田兵作
野田追 新井田権之助 新井田兵作 新井(田)伊助 ユウラップ 青山 栄治
六箇場所の場所請負だった商人の名を記すと、
蝦夷地収納運上金帳
運上金 天明六年(一七八六) 寛政三年(一七九一) 年代不詳
小 安 山崎小吉右衛門
戸 井 四十両 松前 作右衛門代 箱館 浜田屋兵右衛門 北村武左衛門
嘉七
尻岸内 三十両 箱館 白鳥屋新十郎 箱館 亀屋武兵衛 白鳥 庄助
尾札部 百 両 箱館 白鳥屋新十郎 浜田屋兵右衛門
茅 部 四十両 箱館 角屋太郎右衛門 箱館 角屋吉右衛門 角屋吉右衛門
モナシベ
野田追 七十両 箱館 江口屋兵右衛門 松前 河崎屋新六 白鳥屋新十郎
ユウラフ
三十両 松前 材木屋藤右衛門
(「松前町史」「森町史」)
天明の頃には、六箇場所は箱館の商人の圏内にはいっている。寛政年間には、尾札部は鱈場所として知られるようになると、郷土の漁業と箱館の港との関係は一層深くなっていく。