写真12は、岳~百沢間の地蔵茶屋付近、写真13は
岩木山百沢スキー場での露頭写真である。
土石流によって供給された
砂礫層が表層直下と
ローム層を基本とする岳層上部にも包含されている。いずれも厚さが約一メートルである。岩木町立総合運動公園付近を流れる
柴柄沢川および
平沢川流域でも確認でき、径一〇〇センチメートル以上もある巨
礫が密集して
扇状地内を流れる谷
地形を埋積している。なお
百沢土石流の際、南~南東麓に位置するほとんどの
放射谷、すなわち
柴柄沢・平沢・毒蛇沢・
蔵助沢・後長根沢などでも
土石流が発生している。このように、南麓では
松代面あるいは
古期火山麓扇状地面である
弥生面が
土石流などで供給された
扇状地性の
堆積物で覆われ、
百沢面として展開しているものと考えられる。
百沢面は、おおむね岳東方を流れる
湯ノ沢から毒蛇沢にかけて分布している。ただ、扇端部の根ノ山付近は枯木平地区と同様に火山麓斜面とは逆傾斜の微傾斜面であって、
岩屑なだれ堆積面(
松代面)として展開している。両面の境界部にあたる津軽カントリーゴルフ場付近は、現在湿地性の環境を示している。
写真12 地蔵茶屋付近の土石流堆積物。地表直下とローム層中に礫が層状に含まれる。
写真13 岩木山百沢スキー場での土石流堆積物。ローム中に3枚の砂礫層が認められる。