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(一)堺周圍の溝渠

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第百二十四圖版 堺市圍繞河川幅員圖表

 
 
 【溝渠の内譯】堺舊市を圍繞してゐる溝渠は土居川内川古川竪川新堀川に分たれ、便宜上土居川を更に南堀川及び土居川に分つ場合もある。
 【土居川流域】〔土居川〕 土居川は堺舊市の東南北の三方を限り所謂塹濠の遺構であるが、今は大部分下水溝となり、僅に南北兩側の一部のみが舟運の便を與へてゐる。水流は東側芽口橋南方の土關によつて南北に分れ、各南北兩側の土居川へ流入し、更らに其西端は内川の南北兩端へ注いでゐる。水脈は南北側は一筋の斜線であるが、東側は略大小路橋附近よりくの字型となり、其間多少の曲線を示してゐる。卽ち東側北端より野口橋迄は略一直線、同所より中日橋北方迄は斜に東へ振り、中日橋南方より急に角度を強くして西へ振り、花田口橋より再び東に傾いて大小路橋を頂點とし、同橋より俄に西へ傾斜して翁橋、東住吉橋の中間に至り、其より以南は再び直線となつて南端に達してゐる。【水深】水深は北側を最とし地上より水面迄六七乃至一丈、水深滿潮時三乃至五六を有し、南側之に次いで地上より水面迄三乃至一丈に達し、水深滿潮時二乃至三四を示してゐる。東側は變化多く地上より水面迄三一丈餘に達し、内南方は深く北方は淺く中間に近い芽口橋附近には渴水の時が多い。【幅員】幅員は北側東方六間、中央七間、西方八間を有し、南側は七間乃至十二間を東側は四間乃至八間を有し、所によつては西護岸になだれがある。【なだれ】なだれは北側になく、南側山ノ口橋及び砂利橋附近に存し、東側石橋(錦之町東方の中央)以南柳橋迄に幅員三四を連續し、柳橋以南に三乃至六を有してゐる。兩岸東側は土居道路、人家、畑其他で南北兩側は道路、人家、空地、工場其他である。今一部の斷面圖及び更らに土居川に架した橋梁を中心とした幅員の槪略及び兩岸の現狀を示せば次の通りである。

第百二十五圖版 土居側東側斷圖

 
土居川東側幅員表
調査場所場所の町名西岸堀 幅東岸備考
道 幅土居幅現 狀土居幅現 狀道 幅
北端北半町字高須間 
0
間 
0
高須神社間 
5.0
間 
0
0間 
2.0
野口橋北方北旅籠町東一丁005.0 002.0
野口橋南側櫻之町東一丁3.0 005.0 003.0
清水橋北側櫻之町東一丁4.0 005.5 003.5
清水橋南側綾之町東一丁2.0 1.5 空地、家5.5 004.0
錦綾橋綾之町錦之町東一丁2.0 3.0 空地、家5.0 004.0
石橋(假名)錦之町東一丁2.0 3.0 畑、家5.0 004.0
柳橋錦之町東一丁柳之町東二丁2.0 5.0 畑、家5.0 004.0
九間橋北側柳之町東二丁2.0 5.0 畑、家5.0 2.0 2.0 東岸現狀東西二間南北十五間にて道幅員四間となる
九間橋南側九間町東三丁2.0 5.0 5.0 2.0 2.0 東岸現狀東西二間南北二間道幅四間となる
天理橋九間町東三丁2.0 4.0 畑、家5.0 004.0
眞光寺橋北側九間町東三丁2.0 4.0 畑、家5.0 005.0
眞光寺橋南側神明町東三丁2.0 4.0 5.0 2.0 2.0
極樂橋神明町宿屋町東三丁2.0 4.0 干場、畑5.0 2.0 2.0 東岸現狀中の程以南植込
岡村橋宿屋町東三丁2.0 5.0 干場、畑4.0 004.0
三藏橋宿屋町東三丁材木町東四丁2.0 5.0 畑、家4.0 004.0
つんぼ井戸橋材木町東四丁2.0 5.0 4.0 004.0
東戎橋材木町車之町東四丁2.5 4.0 置場、畑4.5 004.0
中日橋北側車之町東四丁3.0 1.0 置場、畑5.0 005.0 北方より堀やゝ西へ掘る
中日橋南側櫛屋町東五丁3.5 0.5 植込4.0 5.0 2.0 西岸現狀南北十五間にして道となる
花田口橋櫛屋町戎之町東五丁3.0 004.0 7.0 2.0
禪通寺戎之町東五丁熊野町東六丁3.0 004.0 7.0 2.0
新南橋熊野町東六丁3.0 004.0 6.0 2.0
大小路橋北側熊野町東六丁3.0 005.0 6.0 2.0
大小路橋南側市之町東六丁2.0 005.0 6.0 2.0 東岸舊土居は往時も現状の如く人家と道路とよりなる
細橋北側市之町東六丁3.0 005.0 6.0 2.0 東岸舊土居は往時も現状の如く人家と道路とよりなる
細橋南側市之町東六丁3.0 005.0 1.5 3.0 東岸舊土居は往時も現状の如く人家と道路とよりなる
木橋(假名)市之町東六丁3.0 005.0 00小口芳治郎氏宅通路
芽口橋市之町東六丁甲斐町東四丁2.0 006.0 1.8 0.8
木橋(假名)北側甲斐町東四丁3.0 007.0 7.0 2.0 北方小溝との中程より以南に中土居地の畑あり
木橋(假名)南側甲斐町東四丁3.0 007.0 7.0 2.0
前橋甲斐町東四丁3.0 007.0 8.0 畑、家1.5
翁橋甲斐町東四丁大町東三丁3.0 007.0 5.0 畑、家2.0
住吉橋大町東三丁宿院町東二丁3.0 006.0 4.0 畑、家2.0
明治橋宿院町中之町中之町2.0 005.0 5.0 2.0
魚荷橋中之町寺地町東二丁2.0 005.0 4.5 置場1.0
榮泰橋北側寺地町東二丁2.0 006.0 4.5 01.0
榮泰橋南側少林寺町東二丁2.0 006.0 006.0
百々橋北側少林寺町東二丁2.0 008.0 0置場、畑6.0
百々橋南側新在家町東四丁2.0 008.0 4.0 置場6.0
文珠橋南旅籠町東三丁2.0 007.0 1.0 置場2.0
高橋南旅籠町東三丁2.0 008.0 1.0 置場1.0
南端南半町東三丁2.0 008.0 001.0



 
土居川南側幅員表
調査場所場所の町名北岸堀幅南岸備考
道幅舊土居現狀舊土居現狀道幅
砂利橋南半町東三丁
0

100
空地
7.0

0
0
5.0
本源院南旅籠町東三丁05.0 本源院境内7.0 1.0 空地5.0
南宗寺南旅籠町東三丁05.0 南宗寺境内8.5 5.0 空地荷上場5.0
山ノ口橋東側南半町東一丁05.0 置場7.0 5.0 5.0
山ノ口橋西側南半町東一丁2.0 3.0 置場7.0 5.0 5.0
少林寺橋東側南半町字大道2.0 3.0 置場7.0 5.0 5.0
少林寺橋西側南半町字大道2.0 3.0 公設市場7.0 5.0 2.0
市場橋南半町西一丁西二丁2.0 3.0 公設市場7.0 5.0 2.0 北岸四方中程以西は建家
鷺橋南半町西二町2.0 3.0 8.5 5.0 2.0



 
土居川北側幅員表
調査場所場所の町名南岸堀幅北岸備考
道幅舊土居現狀舊土居現狀道幅
阪堺軌道鐵橋北半町字高須00空地6 0002.0南岸両方北ノ橋寄りに道幅と堀との間に建家あり
南岸東方稲荷橋の畔は家なし
箱荷橋東側北半町字高須00空地6.0 002.0
箱荷橋西側北半町字高須2.0 006.0 002.0
北ノ橋東側北半町字大道2.0 2.0 7.0 002.0
北ノ橋西側北半町字大道2.0 007.0 002.0
千日橋北半町字七道2.0 008.0 002.0
西端北半町字七道2.0 008.0 002.0

 
 【内川流域】〔内川〕 元祿當時の堺港及び布屋堀割、吉川開鑿堀、天保堀割の舊址たる内川は市の西方を南北に貫流し、土居川の水を受けて古川竪川新堀川になつて海口へ注ぐのである。水脈は南北に貫通してゐるが、多少東西へ屈曲してゐる個所もある。卽ち北半町土居川の西端より南下し、海船橋の畔よりやゝ西へ振り、錦之町に至つて西折し、更に南下して車之町に至り、同町より熊野町迄は弧狀をなし、其南端は再び西折して南下し、新榮橋の畔よりやゝ西に曲つて南に下り、以て南側西端の土居川と合してゐる。【水深】川の深さ地上より水面迄は吾妻橋附近最も深く、北方之に次ぎ南方中橋附近最も淺く、三乃至一丈二を有してゐる。水深は神南邊橋より濱橋迄の間は比較的深く三乃至五、六位である。【沿革】沿岸水利の便あるが爲め、北方は工場多く、戎橋附近は兩岸材木商軒を並らべ、住吉橋以南新榮橋迄は東岸薪炭荷上場、西岸龍神遊廓地となり、南方は漁業者の集團區域となつてゐる。今此川に架設された橋梁及び兩岸の現狀を表示すれば次の通りである。
 
内川幅員表
調査場所場所の町名東岸又は
南岸所在物
西岸又は
北岸所在物
備考
土居堀幅土居
北端北半町字七道0
8.45
0
江川橋北半町字七道08.45 0
海船橋南側櫻之町西三丁08.45 0
共同荷上場錦之町西三丁荷上置07.30 0
錦之町東西流域中央部錦之町西三丁07.45 0此所東西に流るゝ故に南岸、北岸となる
錦之町南折箇所錦之町西三丁011.30 0
海山橋北側錦之町西三丁010.30 0
海山橋南側柳之町西三丁011.15 0
柳之町南側柳之町西三丁09.30 0置場
入間町南側九間町西二丁014.15 0置場
神明町南側神明町西三丁010.00 0置場
宿屋町南側宿屋町西二丁010.00 0置場
神南邊橋北方材木町西二丁011.15 0置場
神南邊橋南方車之町西二丁018.00 0置場
古川入口北岸山本新田026.00 0置場以上都市計畫部所藏實測圖による
新橋北側櫛屋町西二丁017.00 0
戎端北側戎之町西一丁012.00 0
戎端南側熊野町西三丁018.20 0
千歳橋熊野町西三丁08.00 0此所東西に流る
吾妻橋南側市之町西四丁010.00 0
榮橋北側市之町西四丁019.00 0
榮橋南側甲斐町西五丁015.00 0
龍神橋北側甲斐町西五丁015.00 0
住吉橋北側甲斐町西五丁014.30 0
住吉橋南側大町西四丁置場00空地
阪堺軌道鐵橋宿院町西四丁置場00空地
新榮橋東側中之町西四丁00空地
新榮橋西側中之町西四丁00空地此所東西に流る
大濱橋北側中之町西四丁022.30 0空地
大濱橋南側寺地町西四丁020.00 5.00
相生橋北側寺地町西四丁015.00 5.00
得新橋北側少林寺町西五丁010.00 0
濱橋北側南旅籠町西五丁07.00 0
中橋北側南旅籠町西五丁06.00 0
西南端南半町西二丁010.00 0

 

第百二十六圖版 内川(神南邊橋北方)

 
 

第百二十七圖版 内川(龍神橋北方)

 
 
 【古川流域】〔古川〕 古川内川神南邊橋の南方より西方海岸へ直通した小流で下水溝として使用せられ、幅員五間乃至六間を示してゐる。橋梁は僅に大師橋、南海鐵道鐵橋、阪堺電鐵古川鐵橋あるのみで、兩岸は工場、人家、畑等が點在してゐる。【十三間川】開鑿の初め東西の延長百四間、南北幅員十三間であつた。故に十三間川と稱したが、後新堀川の現るゝに至つて古川と稱した。其後西方附洲の開發と共に次第に西方へ延び今日の如く五百九十間に垂んとするに至つた。

第百二十八圖版 古川(阪堺電鐵古川鐵橋西方)

 
 
 【竪川流域】〔竪川〕 内川堺港とを繫ぐ竪川は幅員二十五間、諸川中最も深く、東端に勇橋、西端に阪堺電鐵の橋梁を架してゐる。初め吉川俵右衞門の開く所、延長二百四十間屢々浚渫して其水深を保ち、兩岸には荷揚場所が多い。
 【新堀川流域】〔新堀川〕 新堀川竪川の西方より南下して内川大濱橋に至る弓形の間を指し、俗に旭川と呼ぶ。其流域は堺港に接續してゐる爲め舟運の便利が多い。幅員は旭橋邊にて七間、湊橋、菱橋、阪堺軌道鐵橋邊にては十間を保つてゐる。延長は三百十間に及んでゐる。