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札幌区役所の成立

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 その後十一年の郡区町村編成法等の地方三新法の制定にともない、北海道でも郡区役所の編成が行われ、区務章程や郡長以下の職制などを検討制定した。その時に札幌区役所札幌市街札幌郡一円を管轄することになった。その結果十二年八月制度上札幌郡区役所を設置し(事務は旧区務所が郡区役所開設まで取り扱う)、十月には従前の区戸長を廃止し、十三年二月札幌区長に開拓一等属山崎清躬を任命し、札幌区役所管轄内の戸長の人数等の検討と人選を行い、順次任命した。三月には札幌区役所内を庶務科・戸籍科・租税科・出納科の四科に分科し、各担当者を決定した。五月には戸長役場の位置を決定し、札幌市街創成川を境に二分し、戸長役場区役所内に置いた(市史 第七巻)。この札幌区役所体制は、人口の増加にともなう事務の煩雑さに合わせるように、郡区役所の再編成・戸長役場の増設や事務分掌の変更・担当人員の増員を行っていきながら、三十二年の北海道区制の施行まで継続する。
 なお市会所・区務所・区役所の役員・吏員等の名前と分掌について、諸史料を検討してほぼ判明した分は、制度の変遷に見合う形であらわすと表5の通りである。
表-5 市会所・区務所・郡区役所の役員及び分掌一覧
●明治6年2月の市会所役員及び事務分掌
区長 井出正文
区長 斎藤実昭
役員 戸長 島倉仁之助
副戸長 高瀬和三郎, 山口吉太郎, 山口重次郎
町用掛 野島広吉, 小野新太郎, 前田市太郎, 中野繁三郎,
浜中庄兵衛
事務分掌 検査方 市中一般事務 島倉仁之助
出納方 貸与受納と市会所経費 島倉仁之助, 高瀬和三郎,
中野繁三郎, 浜中庄兵衛
受付方 願伺届布告 山口吉太郎, 山口重次郎,
野島広吉, 小野新太郎, 前田市太郎
●明治7年9月頃の市会所役員
役員 副区長 高木宗三郎(第1大区1・2・3小区副区長)
戸長 管野宜静
副戸長 堺伝助, 富田貞賢, 橋爪正夫
総代 山口重次郎, 北島粂次郎, 渡辺富作, 北村伴次郎
●明治10年2月頃の第1大区区務所役員
役員 副区長 高木宗三郎(第1大区副区長)
戸長 山口重次郎
副戸長 森本清七, 中川和吉
総代 千葉勇治, 大村耕太郎, 木村嘉, 三浦定吉
●明治11年12月頃の第1大区区務所役員
役員 区長 重久安都男
副区長 高木宗三郎
副戸長 森本清七, 中川和吉
総代 千葉勇治, 大村耕太郎, 三浦定吉, 山田奥五郎, 綱島右源太
●明治13年3月札幌区役所分掌及び市街戸長
事務分掌 区長 山崎清躬
庶務科兼戸籍科 仁木信義
戸籍科兼庶務科 重久安都男
租税科兼出納科 管野宜静
戸籍科兼庶務科 斎藤皓
租税科兼出納科 羽部篤行
出納科兼租税科 大西久米之丞
庶務科兼戸籍科 秋山有友
戸長 札幌区市街東創成町以東各町戸長 綱島右源太
札幌区市街西創成町以西各町戸長 中川和吉

●明治17年9月区・郡役所分科吏員
区長郡長 山崎清躬
庶務科   区書記兼郡書記 斎藤実昭
秋山有友
松田寿三郎
常務 区書記兼郡書記 縣武雄
御用係 長谷川潔
佐々木和三郎
高木元次郎
衛生 御用係 長谷川潔
佐々木和三郎
受付 桑島虎十郎
一瀬忠次郎
戸籍科   区書記兼郡書記 斎藤実昭
羽部篤行
兵事 御用係 長谷川当路
池田秀幸
定籍 御用係 長谷川当路
池田秀幸
勧業科   区書記兼郡書記 斎藤実昭
郡書記兼区書記 武田矩常
池田秀幸
出納科 区書記兼郡書記 斎藤実昭
大西粂之丞
松田寿三郎
藤岡可臣
租税科 区書記兼郡書記 斎藤実昭
管野宜静
地籍 区書記兼郡書記 宮野昂蔵
森弥平
徴税 区書記兼郡書記 宮野昂蔵
神戸源蔵
御用係 石田常理
井口鎮次郎
学務科 区書記兼郡書記 斎藤実昭
縣武雄
秋山有友
御用係 長谷川潔
佐々木和三郎
1.17年吏員氏名の重複は重任と思われる。武田矩常は郡書記が主務,他の書記は区書記が主務と思われる。
2.『市在諸達留』(北大図),『開拓使公文録』(道文6024),『辞令録』(道文1966,2486),『郡区改正書類』(道文3807),『札幌県治類典』(道文8687),『新札幌市史』第7巻などにより作成。