段丘下の湧き水の近くで暮らしていたあきしまの人々は、江戸時代になると、より広い田畑を求め、段丘上の台地を北へ向かって新田開発をはじめました。現在の各町の区域が南北に細長い短冊型であることの所以です。村々では多摩川から引き込んだ九ヶ村用水を利用していましたが、引水をめぐって対岸の日野領とのあいだで争いがくりかえされていたことが、残された古文書から読みとれます。また、昭島市域を今も流れる玉川上水が開削されたのも、この時代でした。

現在の昭島市がかたちづくられた、“近世の記憶”をたどります。

  • 江戸時代中期

    映像

    深夜の町内を練り歩くサカキの神輿
    拝島日吉神社の榊祭

    江戸時代から250年以上続く伝統ある祭りです。サカキの大木に無数の紙垂(シデ)が結ばれた榊神輿は、担ぎ手の若衆によって一晩中町内を巡行。祭りの最後に若衆らが榊の頂にある御心筒を奪い合う様は圧巻です。

    山王祭礼図絵

    明和4年頃

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    榊祭の原型が色鮮やかに描かれた絵巻物 山王祭礼図絵

    明和4年(1767)の日吉神社の神輿渡御の模様を伝える絵巻物です。日吉神社が山王大権現の称号を許された記念に神輿を新調しておこなった式典が、現在の日吉神社祭礼のはじまりです。本図絵は、当時の祭礼の様子が克明かつ鮮やかに描かれています。(原本は普明寺所蔵・非公開)

    江戸時代中期

    映像

    拝島日吉神社例大祭
    本宮宮神輿渡御

    明和4年に描かれた「山王祭礼図絵」に従い、253年間守り継がれたお道具行列です。古 式ゆかしく白装束に身を固めた氏子連が拝島日吉神社より宮神輿を渡御します。それを拝島町三町(加美町、奈賀町、志茂町)屋台が迎え、行列に加わり全町曳きをします。

    大正4年以降電線が障害となり中止していた、人形を立ち上げたままでの屋台奉曳ですが、この祭のために電線を高架化し、令和元年、約104年ぶりに復活しました。

  • 江戸時代中期

    映像

    十二通りの「狂い」が伝承される神事芸能
    中神の獅子舞

    旧中神村の鎮守・熊野神社に伝承する獅子舞です。「獅子狂い」とも呼ばれ、毎年4月中旬に悪霊退散・五穀豊穣を祈願する神事芸能です。

  • 江戸時代末期~現在

    映像

    幕末から継承される流麗なお囃子
    福島ばやし

    旧福島村の鎮守・福島神社の祭礼囃子です。毎年8月におこなわれる例祭で、主祭事である神輿渡御の際、送り囃子と迎え囃子を奉納します。当初は目黒囃子でしたが、明治初期に埼玉県三芳町千曲座の師匠から芝囃子を伝承しました。嘉永年間(1854~1848)に始められたといわれており、市の無形民俗文化財に指定されています。

    映像は昭和48年8月に収録したフィルムをデジタル化したものです。

  • 宝暦12年(1762)

    映像

    今も信仰を集める路傍の小さなお地蔵さま
    向宿の子持ち地蔵

    福島町の「向宿」と呼ばれる地域に奉られている子持地蔵尊です。昔から子どもの夜泣き、夜尿症、病気、けがなどに霊験があるとされ、地域の人々の篤い信仰を集めています。住民による講によって管理されており、毎年4月の縁日では、僧侶の読経、百万遍(数珠回し)、御詠歌の奉納がおこなわれます。

  • 月廼野露草雙紙

    文化11年(1814)

    郷地村の読み物作家・不老軒宇多々の時代小説 月廼野露草雙紙

    郷地村の読み物作家によって書かれた戦国時代を舞台にした読本(小説)です。作者の不老軒宇多々(1760?-1853)は郷地村の村役人の一族で、俳人でもあった人物です。読み物作品はこの一作だけでしたが、全6巻、20回の話からなる大作を書きあげました。滝山、玉川(多摩川)、狭山池など、多摩地域の古い地名や故事なども記されています。宝積寺に、宇多々の墓と辞世の句があります。

    講談「月廼野露草雙紙」

    近世

    映像

    昭島市在住の講談師・宝井一凛さんによる 講談「月廼野露草雙紙」

    「第9回 寺子屋こうふくじ-もっと知ろうよあきしま-」(平成30年12月22日 於 広福寺)で上演された講談師・宝井一凛さんによる「月廼野露草雙紙」です。不老軒宇多々による勧善懲悪・因果応報の物語を、張り扇で小気味良い調子を取りながら見事に演じています。宝井一凛さんは講談協会 真打で、昭島市の観光親善大使でもあります。

  • 江戸時代末期~昭和48年頃

    映像

    多摩川河川敷に残る近代土木遺構
    九ヶ村用水取水口跡

    多摩川の河川敷に、古くから昭島の地域の水田を潤してきた「九ヶ村用水」の取水口の跡が残っています。九ヶ村用水の成立年代は不明ですが、室町時代には原型が作られ、延宝(1673~81)には完成したとされています。名称の由来は、用水が昭島市域8ヶ村と立川市の1ヶ村の9つの村に引かれていたことから。昭和初期に多摩川の水量が減り十分に取水できなくなったため、昭和8年、取水口は現在の昭和用水堰の場所に移されました。

  • 乍恐以書付御訴訟申上候

    宝永7年(1710)

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    多摩川の取水をめぐる訴状 乍恐以書付御訴訟申上候

    昭島市大神町の旧家・中村家に伝来する文書(中村家文書)に、江戸時代に大神側の九ヶ村と多摩川の対岸の日野用水組合との水争いに関する史料があります。宝永7年(1710)、日野用水組合が既存の取水口より上流に新しい水堰を作ろうとしたため、大神側が訴訟をおこした際の奉行所宛ての訴状です。当時の人々にとって、水争いが生命を左右する大事件であったことがわかります。

    拝島村~柴崎村夛摩川洪水川欠・堤切所等絵図

    安政6年(1859)

    高精細画像

    「安政の未年の大水」の被害を描いた重ね絵図(1) 拝島村~柴崎村夛摩川洪水川欠・堤切所等絵図

    多摩川は上流から下流までの勾配が急な「暴れ川」で、流域の人々は古来から幾度となく洪水に襲われてきました。本絵図は、安政6年の大水被害を描いた史料(中村家文書)です。洪水の前と後を描いた 2枚の絵図を重ね合わせることで、拝島村から柴崎村(立川市)までの地域が甚大な水没被害を被ったことがわかります。

    築地村地先夛摩川洪水川欠・堤切所等絵図

    安政6年(1859)

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    「安政の未年の大水」の被害を描いた重ね絵図(2) 築地村地先夛摩川洪水川欠・堤切所等絵図

    安政6年(1859)の大水被害を描いた旧築地村周辺の重ね絵図(中村家文書)です。築地村は文化11年(1811)に起きた大洪水で全村流失し、住民は移転を余儀なくされました。本絵図を見ると、その48年後の大水で、旧築地村に隣接していた福島村と中神村が「川欠(洪水により田畑が押し流された地)」「石砂入(洪水による石砂の流入)」といった深刻な被害を受けたことがわかります。

  • 承応3年(1654)完成

    映像

    昭島市ほか13の市区域を流れる全長43kmの上水路 玉川上水

    江戸の町に飲料水を供給するために開削された一大用水です。当時の水道としては世界一の規模で、江戸・東京の発展を支えた優れた土木遺構として平成15年(2003)に国史跡に指定されました。現在でも、羽村堰から小平監視所までの約12kmは上水路として機能しており、その区間にある昭島市域の上水沿いは、四季折々の風景が楽しめる散策道となっています。

  • 第二札(徒党の禁止)

    明和7年(1770)

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    第二札(徒党の禁止)

    福島村領主市川又兵衛が領内に掲げた高札。幕府はこの年、「徒党・強訴・逃散」に対する密告褒賞制を定め、これを受けて市川氏が領民に周知させるために掲示したもの。

    (解読文)

    何事によらず、よろしからざる事に
    百姓大勢申合候を「ととう」と唱へ、ととうして、
    しいてねかい事うわたつるを「ごうそ」といひ、
    或は申合、村方たちのく儀を「てうさん」と申、
    前々より御法度に候条、右類の儀これあらは、
    居むら他村にかたらす、早々其筋の役所へ
    申出べし、御ほうびとして
      ととうの訴人  銀百枚
      ごうその訴人  同 断
      てうさんの訴人 同 断
    右の通下され、其品によりては苗字も
    御免あるべく間、たとへ一旦同類に成る共、発言
    いたし候者名前申出においては、其科をゆる
    され、御ほうび下さるべし、右類訴人いたす者
    もなく、村々騒立候節、村内のものをさし押へ
    ととうにくわわらせず、一人も差いださざる
    村方これあらば、村役人にても百姓にても
    重にとりしづめ候者ハ御褒美下され、帯刀
    苗字御免御ほうび下しおかるべき者也
      明和七年四月       奉行

    右之通被 仰出候間、堅可相守者也
                   市川又兵衛

    第三札(切支丹・邪宗門厳禁)

    慶応4年(1868)

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    第三札(切支丹・邪宗門厳禁)

    1868年(慶応4年)3月、五カ条の御誓文に続いて出された明治新政府の一般向け初メッセージ。5種あり、これは江戸時代と同じくキリスト教の信仰禁止を命じたもので、当時の拝島村に掲示されていました。

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